群馬大学臓器病態内科学の吉田貞満氏

 近年、エイコサペンタエン酸(EPA)アラキドン酸(AA)の比であるEPA/AA比は心血管イベントの予測因子として関心を集めている。今回、群馬大学臓器病態内科学の吉田貞満氏らは、睡眠呼吸障害(SDB)を伴う心血管疾患例においてEPA/AA比が低いと致死的心血管イベントの発生リスクが高まることを、3月15日から17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で報告した。

 EPAは心血管疾患(CVD)のリスク因子に対して好ましい影響を及ぼすことが示されている。わが国で行われたJELIS試験では、EPA製剤の2次予防効果が冠動脈疾患例で、特に心筋梗塞既往例において実証されている。また、CVDとSDBは関連しているとの報告がある。こうした背景の下、SDBを合併している心血管疾患例を対象に、EPA/AA比と致死的心血管イベントとの関連性を検討した。

 対象は心血管疾患により同大学病院に入院した患者のうち、SDBを合併していた91例(平均年齢67歳)とした。SDBは、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)で無呼吸低呼吸指数(AHI)>5回/時と定義した。この91例を、EPA/AA比0.4をカットオフ値としてEPA/AA比低値群(0.4未満、53例)とEPA/AA比高値群(0.4以上、38例)の2群に分けた。

 心血管疾患の内訳を見ると、虚血性心筋症(ICM)が49%、拡張型心筋症(DCM)が12%、弁疾患が9%、不整脈が9%などであった。また、背景因子については、年齢や男性比率、BMI、喫煙率、高血圧や糖尿病、脂質異常症の保有率などに有意な差は認められなかった。睡眠関連の指標に関しても、AHIはEPA/AA比低値群が44.2±30.6回/時、EPA/AA比高値群51.5±32.5回/時と有意な差は認められず、他の指標でも有意な差はなかった。

 臨床検査値については、HDLコレステロール値はEPA/AA比低値群の方が有意に高かったが(P=0.02)、LDLコレステロール値やトリグリセライド値、空腹時血糖値、BUN値、クレアチニン値は差が認められなかった。さらに、左室駆出率(LVEF)も差がなかった。一方、BNP値は有意な群間差はなかったが、BNPが200pg/dL超である患者の割合はEPA/AA比低値群が62.3%、EPA/AA比高値群が34.2%と、低値群で有意に高かった(P<0.01)。

 致死的心血管イベント(急性心筋梗塞、不整脈、心原性脳梗塞による死亡)の発生率は、EPA/AA比低値群が13%、EPA/AA比高値群が3%と、低値群で有意に高かった(P=0.02)。

 以上から吉田氏は、「今回の結果は、CVD患者がSDBを合併していると、EPA/AA比が致死的心血管イベントの予測因子になることを示唆している」と語った。