国際医療福祉大学三田病院循環器内科の小川聡氏

 2012年4月に発売された新規経口抗凝固薬であるリバーロキサバンの特定使用成績調査(Post Market Surveillance)中間報告において、2013年1月16日時点での安全性解析対象133例中、出血性副作用が発症した症例は11例(8.27%)であることが示された。年率に換算すると3.43%/年で、同薬の日本人非弁膜症心房細動患者を対象とした治験であるJ-ROCKET AF試験の成績と同程度だった。このうち重大な出血性副作用は胃腸出血1例だった。国際医療福祉大学三田病院循環器内科の小川聡氏が、3月17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で発表した。

 リバーロキサバンは、J-ROCKET AF試験において、日本人向け用量の同薬(15mg/10mg)のワルファリン(TTR=65%)に対する安全性の非劣性が検証された。J-ROCKET AF試験の結果は、1万4264例を対象としたグローバルROCKET AF試験の結果と一貫性を示している。ただし、J-ROCKET AF試験はCHADS2スコアが2点以上の患者を対象としたために平均スコアは3.25であり、使用実態下における安全性のデータ及び低リスク患者におけるエビデンスが求められている。

 今回の調査の対象症例数は1万例を目標としており、標準観察期間は2年間、最長5年の予後調査を行うとしている。調査方法は、インターネットを使用した症例情報収集システム(EDC)を用いた中央登録方式で、症例登録期間は販売開始日の2012年4月18日から2015年3月までとしている。2013年1月31日時点で28歳から99歳まで3379例(男性59%、外来87%、平均年齢73.6歳、年齢中央値75歳、平均体重59.8kg、体重中央値59.4kg)が登録された。

 対象のうち調査票データが入力され、安全性解析対象となったのは133例だった。このうち出血性副作用が発現したのは11例(8.27%、95%信頼区間[CI]:4.20-14.32)で、重大な出血性副作用は胃腸出血が1例(0.75%、95%CI:0.02-4.12)だった。重大ではない出血性副作用としては、歯肉出血、血便、肝障害、血尿、腸出血などがあった。全副作用で見ると、133例中14例(10.53%)に発現しており、うち死亡が2例だった。死亡例は、敗血症と多臓器不全を合併した1例と、くも膜下出血と診断された1例で、いずれも担当医師により同薬との因果関係は否定されている。この副作用発症頻度を年率に換算すると、出血性有害事象は22.58%/年、重大な出血は3.43%/年で、J-ROCKET AF試験の出血性有害事象18.04%/年、重大な出血3.00%/年とほぼ同程度だった。

 登録例3379例の患者背景は、高血圧合併例が約70%と最も頻度が高く、脳卒中あるいは一過性脳虚血発作(TIA)既往例は24%だった。前治療としては、ワルファリン34%、ダビガトラン18%、アスピリンなどが2%、その他1%、前治療なしが45%だった。75歳以上の高齢かつ50kg以下である例は、517例だった。CHADS2スコアの分布は、0〜1点、2点、3点以上の患者がそれぞれ3分の1という状況だった。

 クレアチニンクリアランス(Ccr)を測定したのは2863例(測定実施率84.7%、平均65.7mL/分)で、15.3%に当たる516例でCcrが未確定だった。Ccr分布を調べたところ、Ccr15mL/分未満の使用禁忌例への投与は確認されなかった。しかし、15〜30mL/分未満の安全性未確認例への投与は78例(2.3%)で、慎重投与例である15〜49mL/分は合わせて817例(24.2%)確認された。

 調査票が入力された133例に限って見ると、前治療は、ワルファリン55例(41%)、ダビガトラン32例(24%)、アスピリン14例(11%)、その他3例(2%)、なしが29例(22%)だった。投与量は15mgが60例(うちCcr30〜49mL/分が4例、50〜79mL/分が23例、80mL/分以上が33例)、10mgが68例(うちCcr15〜29mL/分が2例、30〜49mL/分が27例、50〜79mL/分が32例、80mL/分以上が7例)だった。Ccrが50mL/分以上ありながら10mgを選択した39例の理由については、腎障害や出血リスクが高いことなどが挙げられた。

 これらの結果から小川氏は、「リバーロキサバンの特定使用成績調査は血栓症領域では国内最大規模で、登録も順調に進展している。同薬は実際には低リスクから高リスクまで偏りなく使用されており、調査の結果から、数千単位の日本人低リスク患者(CHADS2スコア0〜1点)における安全性および有効性のデータが期待できる」とまとめた。

 小川氏は、「新規経口抗凝固薬は、2011年から日本に導入されているが、頭蓋内出血などの重篤な出血副作用も報告されており、実臨床における適正使用が求められている。また、承認・発売が海外とほぼ同時であるために、海外での使用経験や副作用情報もきわめて限定的だ。そこで、今回の特定使用成績調査から得られる知見をできるだけ迅速に臨床現場にフィードバックする必要がある。中間解析であったとしても、調査データを公表して共有することは情報の透明化と適正使用促進の観点から、わが国の心房細動治療に有益だ」と中間報告公表の意義を語った。