川崎病院(神戸市兵庫区)の丸山貴生氏

 冠動脈CT造影CTCA)でプラークが見つかったが有意狭窄はなかった症例を追跡し、LDLコレステロール(LDL-C)レベルとの関連を調べたところ、最終観察時のLDL-Cが高値だった群は中〜低値群よりも有意に心血管イベントの発症が多かった。多変量解析の結果では、喫煙や冠動脈石灰化などとともに、「LDL-C100mg/dL以上」が独立した心血管イベントの予測因子であることも示された。3月15日から17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で、川崎病院(神戸市兵庫区)の丸山貴生氏らが発表した。

 対象は、2007〜2010年にCTCAを行い、プラークが見つかったが有意狭窄はなく、薬物治療を受けている1293例(ベースライン時の平均年齢は68歳)。

 心血管イベントをエンドポイントとして追跡し(フォロー期間の中央値2.5年)、最終観察時のLDL-C値で3群(A群:88mg/dL未満、B群:88mg/dL以上105mg/dL未満、C群:105mg/dL以上)に分けて検討した。

 A群は、他群よりもベースライン時点で、糖尿病の罹患、喫煙、冠動脈石灰化などが有意に多かった。また、スタチンの使用も、A群が最も高かった(A群62.5% 、B群50.5%、C群28.9%)。

 心血管イベントの発生は、全体で72例(5.6%)だった。群別に見ると、A群10例(2.3%)、B群14例(3.2%)、C群48例(11.3%)となり、LDL-Cが高い群ほど多かった。特にC群では、突然死(全11例中11例)や急性冠症候群(全19例中14例)の発生が多く見られた。

 3群の心血管イベントについて、カプランマイヤー法で解析を行ったところ、無イベント生存率(EFS)はC群が有意に低かった(Log-rank P<0.0001、A群のハザード比(HR):0.52、95%信頼区間[CI]0.33-0.79、B群のHR:0.79、95%CI 0.51-0.97、C群のHR:1、reference)。

 また、心血管イベントに関してROC解析を行った結果では、最適なカットオフ値は102mg/dLとなった(感度79%、特異度67%)。

 多変量解析の結果、心血管イベントの有意な予測因子となったのは、「喫煙」(HR:3.58、95%CI 1.99-6.61)、「冠動脈石灰化」(HR:2.66、95%CI 1.70-4.85)、「LDL-C100 mg/dL以上」(HR:2.97、95%CI 2.28-3.99)だった(いずれもP<0.0001)。

 丸山氏は、「今回の結果から、動脈硬化がある患者については、LDL-C高値を放置していると心血管イベントの発生が有意に高くなることが示唆された。CTでプラークが見つかった患者は、心血管イベンを予防するためにLDL-Cを100以下にするのが望ましいのかもしれない」と話した。