富山県済生会富山病院(富山市)の福田信之氏

 高齢化に伴い心房細動AF)の患者数は増加しており、循環器内科医だけでは治療をカバーできなくなってきている。実地診療においては、非循環器内科医がこれらの患者の治療に携わる例もあり、抗血栓療法がどの程度行われているかは明らかではない。そこで、富山県済生会富山病院(富山市)の福田信之氏らが、同病院において2011年4月の時点でAFと診断された外来患者の治療実態を調べたところ、循環器内科外来に比べて非循環器内科医外来では、抗凝固療法を受けている患者が有意に少なく、抗血小板薬のみの治療が有意に多いことなどが明らかになった。3月15日から横浜で開催中の第77回本循環器学会(JCS2013)で発表した。

 対象は2011年4月の時点でAFと診断され、同病院外来通院中の患者248人。2012年3月までのイベント(脳卒中、全身性塞栓症、死亡、大出血)の発生などについて調べた。

 処方されていた塞栓症予防薬の内訳は、83%がワルファリン単独あるいはワルファリン+抗血小板薬で、16%がアスピリンのみ、1%がクロピドグレルのみだった。ワルファリン療法を受けていたのは248人中165人で、TTR(Time in Therapeutic Range)は57.5%だった。

 次に、循環器内科医(計5人)に治療を受けていた患者(循環器内科医外来群;211人、85%)、非循環器内科医に治療を受けていた患者(非循環器内科医外来群;37人、15%)の2群に分けて治療内容を検討した。非循環器内科医の専門科の内訳は、消化器2人、内分泌1人、腎臓1人、脳神経外科4人。2群間で患者背景に違いは見られなかった。

 循環器内科医外来群と非循環器内科医外来群の2群で抗血栓療法の内容を調べたところ、非循環器内科医外来群は、循環器内科医外来群に比べて、ワルファリン療法が有意に少なく(P<0.05)、抗血小板のみの治療(P<0.01)や、抗血栓療法を行っていない例(P<0.05)が有意に高かった。ワルファリン服用患者のTTRについては、非循環器内科医外来群は循環器内科医外来群よりも有意に低値だった(38.5% 対 58.0%、P<0.05)。

 さらにイベント発症率は、非循環器内科医外来群の方が循環器内科医外来群よりも有意に高かった(15.8% 対 4.3%、P<0.05)。

 これらの結果を踏まえ、福田氏は、「心房細動患者は、ガイドラインに従って抗血栓療法を行い、特にワルファリン療法においてはTTRを良好に維持する必要がある。しかし、リアルワールドの診療においては、まだ質の高い抗凝固療法がすべての患者に行われていない実態が明らかになった。今後は、新たな治療選択肢の直接トロンビン阻害薬や抗Xa因子阻害薬の使用も考慮して塞栓症予防を行っていく必要があるだろう」とまとめた。