浦添総合病院循環器内科の上原裕規氏

 スタチン療法により心血管イベントのリスクは低下するものの、強化スタチン療法を行ってもリスクがゼロになるわけではなく、残余リスク(residual risk)の管理に注目が集まっている。エイコサペンタエン酸(EPA)製剤が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における非責任病変のプラーク安定化に寄与することを、浦添総合病院(沖縄県浦添市)循環器内科の上原裕規氏らが、3月15日から横浜で開催されている第77回日本循環器学会(JCS2013)で発表した。

 今回、同氏らはEPA製剤が冠動脈プラークを安定化させる効果について検討した。対象としたのは、PCIが施行され、登録の6カ月前からスタチン投与を受けていた、あるいは登録時に脂質異常症を有しておらず、非責任病変に脂質に富んだ(lipid-rich)プラーク光干渉断層撮影(OCT)により認められた連続21症例。これらの患者を、登録後EPA製剤を1.8g/日投与したEPA投与群(13例)と投与しない対照群(7例)に無作為に割り付けた(EPA投与群のうち1例は投与後のOCTデータが得られなかったため解析から除外した)。

 プラーク体積のサロゲートマーカーとして、線維性被膜の厚さ(fibrous cap thickness:FCT)の最小値と脂質プラークの円弧角度(arc of lipid plaque)をOCTにより登録時と9カ月後に測定した。

 患者背景を見ると、年齢や性別、糖尿病や高血圧、脂質異常症の保有率、喫煙率、スタチンやACE阻害薬・ARB、β遮断薬の処方率に、両群間で違いは認められなかった。また、登録時の血清脂質のうち総コレステロール値だけがEPA投与群で有意に高かったが、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、トリグリセライド値には群間差はなく、HbA1c値やhs-CRP値にも有意差はなかった。さらに、登録時のEPA/AA比、FCTの最小値、arc of lipid plaqueも群間差は認められなかった。

 登録時と9カ月後を比較したところ、各種の血清脂質値については両群とも有意な変化は認められなかった。一方、EPA/AA比はEPA投与群で0.30から1.10と有意に増加したのに対し(P<0.0001)、対照群では0.28から0.28と変化は認められなかった。

 FCTの最小値についてはEPA投与群では160.7μmから267.6μm(P<0.0001)、対照群では188.5μmから208.5μm(P=0.03)と、両群とも有意に増加していた。その変化量を両群で比較するとEPA投与群の方が有意に大きかった(P<0.001)。

 また、arc of lipid plaqueについては、EPA投与群では102.9°から71.2°へと有意に減少したのに対し(P=0.0004)、対照群では85.4°から81.0°とほとんど変化していなかった。その変化量を比較すると、EPA製剤群の方が有意に大きかった(P=0.001)。

 以上の検討から上原氏は、「EPA製剤はFCTの最小値を増加させるとともにarc of lipid plaqueを減少させることで、冠動脈プラークを安定化させる効果を有する」と語った。