福岡大学心臓・血管内科の松本直通氏

 植込み型除細動器(ICD)が2次予防目的で植え込まれた患者では、上室頻拍や心房細動、洞頻脈などに対する不適切作動が抗不整脈薬アミオダロンの投与により減少していたことが分かった。福岡大学心臓・血管内科の松本直通氏らが、3月18日まで開催されていた第76回日本循環器学会(JCS2012)で発表した。

 最近、ICD装着患者ではショック作動そのものが生命予後に悪い影響を与えると報告されており、ショック作動をなるべく低減させるのがICDのマネジメントとして重要と言われている。そこで演者らは、ICD装着患者を1次予防群と2次予防群に分けて、適切・不適切作動の割合や死亡率との関連について後ろ向きに検討した。

 対象は、基礎心疾患を有し、1998年から2010年まで同科でICDの植込みを施行した連続165例。基礎心疾患の内訳は虚血性心疾患が41%と最も多く、以下、拡張型心筋症23%、肥大型心筋症15%だった。なお、フォローアップ期間は平均43カ月だった。

 患者背景については、年齢は1次予防群(60例)が66歳、2次予防群(105例)が62歳で、有意差には至らないものの、1次予防群で高い傾向にあった。また、高血圧や糖尿病、心房細動の合併率、心胸比、駆出率、基礎心疾患に有意差はなかった。一方、うっ血性心不全患者は1次予防群64%、2次予防群45%と、1次予防群で有意に高かった(P=0.03)。アミオダロンの処方率はそれぞれ43%、61%と、有意差が認められた(P=0.03)。

 ICDの累積作動率をみると、5年で45%、10年で60%だった。群別にみると、2次予防群は1次予防群に比べ有意に高かった(ハザード比:2.61、95%信頼区間:1.31-5.20、P=0.004)。さらに、適切作動と不適切作動に分けると、前者は2次予防群で有意に高く(P=0.02)、後者は2次予防群で高い傾向にあった(P=0.11)。

 生存率に関しては全体で5年後が78%、10年後が57%で、1次予防群と2次予防群に分けても差がなかった(P=0.39)。

 2次予防群でICD作動率が高かったため、服用薬との関連について検討したところ、適切作動率においては、アミオダロン投与の有無による差はなかった。一方、不適切作動率においては、アミオダロン投与群の方が有意に少なかった。

 これらの結果を受け松本氏は、「ICDの適切作動率、不適切作動率はいずれも2次予防群で有意に高かったが、死亡率では両群に差がなかった。また、2次予防群では、アミオダロン投与により不適切作動の抑制がみられたが、適切作動は抑制されなかった」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)