国立病院機構鹿児島医療センター第一循環器科の大牟禮健太氏

 ステントの周囲に造影剤が漏出するPSS(peri-stent contrast staining)は、シロリムス溶出性ステント(SES)留置後2年目までに高率に出現し、その後は減少傾向となることが分かった。また、PSSがステント留置直後には認められなかったがフォローアップ期間に認められた「late-acquired PSS」が出現した症例では、出現しなかった症例に比べ、超遅発性ステント血栓症(VLST)が有意に多く発症していた。国立病院機構鹿児島医療センター(鹿児島市)第一循環器科の大牟禮健太氏らが、3月18日まで福岡で開催されていた第76回日本循環器学会(JCS2012)で発表した。

 ステント留置後のVLST予防はSESの課題であり、最近、PSSがVLSTの発症に関連しているとの報告があった。大牟禮氏らは今回、VLST予防のために抗血小板薬併用療法(DAPT)の継続が望ましい患者を同定するため、同センターでのPSS出現状況とステント血栓症の関係について検討した。

 対象は、2004年6月から2011年6月にSES留置を行い、留置後少なくとも1年以内に1度はフォローアップの冠動脈造影(CAG)を行うことが可能であった366症例(男性比率71.3%、平均年齢69±10歳)487病変。患者背景をみると、安定狭心症が最も多く、冠危険因子は喫煙が57例(15.6%)、高血圧が310例(84.7%)、脂質異常症が253例(69.1%)、糖尿病が153例(41.8%)だった。留置部位は、左前下行枝(LAD)が255病変(52.4%)で最も多く、慢性完全閉塞が32病変(6.6%)含まれていた。

 フォローアップCAGの平均期間は29.0カ月(3.0カ月〜83.4カ月)で、その期間中、487病変中27病変にPSSを認めた。そのうち、late-acquired PSSが24病変を占めていた。一方、ステント血栓症はフォローアップ中に6例起こっており、内訳は早期STが1例、遅発性STが1例、VLSTが4例だった。4例のVLSTのうち3例にPSSが認められ、いずれもlate-acquired PSSだった。なお、VLSTを発症した4例は、いずれも何らかの理由によりDAPTが施行されていなかった。

 Late-acquired PSSの出現頻度をステント留置より1年ごとにみてみると、1年目が3.5%、2年目が2.2%、3年目が0.8%、4年目は0%、4年目以降が1.9%だった。

 フォローアップCAGの時期を、SES留置後1年以内を初期、2年(±6カ月)を中期、4年(±6カ月)を長期と定義したところ、全ての時期でフォローアップできたのは86病変だった。この86病変でPSSの出現頻度をみてみると、中期までが10.5%、長期が1.3%と、ステント留置2年以内で有意に高率に認められた(P=0.0196)。

 また、VLSTの発症率は、late-acquired PSSを認めた群では12.5%、認めなかった群では0.22%と、前者で有意に高い頻度で発症していた(P<0.0001)。

 これらの結果から大牟禮氏は、「late-acquired PSSを認める症例については、VLST予防のため、DAPT継続を検討する必要がある」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)