兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科の横井公宣氏

 冠動脈MRAmagnetic resonance angiography)の画質に影響を与える因子はBMIであり、β遮断薬の使用や心拍数はあまり影響しないことが示された。兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科の横井公宣氏らが、3月16日から18日まで福岡で開催されていた第76回日本循環器学会(JCS2012)で報告した。  

 冠動脈MRAは、放射線被爆を伴うことなく、造影剤を使用せずに冠動脈の形態を描出することができる。しかし、マルチスライスCTと比べると、冠動脈病変の診断能や検査成功率が低いことが課題となっている。そこで横井氏らは、冠動脈MRAの画質に影響する因子を明らかにすることを試みた。

 対象は、同センターで2010年5月から2011年7月にかけて冠動脈MRA撮像を行った連続159例で、後ろ向きに解析した。撮影は、1.5テスラのMRIを用い、心電図同期と横隔膜の位置をモニターする呼吸同期(ナビゲーターエコー法)を使用して自由呼吸下で行った。撮影シーケンスはSSFP(steady state free precession)法で、32チャンネルの心臓専用コイルを使用した。

 撮像後に右冠動脈のMPR画像を作成し、冠動脈の描出状態レベルを4段階で評価した。MPR画像の作成が難しかった場合は1点、MPR画像を作成できたが単独での評価が難しい場合は2点、MPR画像が作成でき診断価値の高かった場合は3点、極めて鮮明に冠動脈を描出できた場合は4点と定義した。

 患者背景は、男性が58人、女性が101人、平均年齢が63歳、撮影開始直前の平均心拍数が64±9拍/分、平均BMIが24±4kg/m2。検査でβ遮断薬を使用したのは112例(70.4%)、平均撮像時間は312±149秒だった。画質評価の内訳については、1点が14例(8.8%)、2点が33例(20.8%)、3点が84例(52.8%)、4点が28例(17.6%)だった。

 単回帰分析で冠動脈MRAの画質に影響を与える因子を検討したところ、年齢(P=0.003)、BMI(P<0.0001)、撮像時間(P=0.03)の3項目が有意な因子だった。さらに、重回帰分析で検討した結果、BMIのみが有意な因子として検出された(P=0.002)。一方で、性別、年齢、心拍数、β遮断薬の使用、撮像時間はいずれも有意な因子ではなかった。

 これらの結果から、横井氏は「BMIは冠動脈MRAの画質を予測する因子だったが、β遮断薬の使用や心拍数は大きな影響を及ぼさなかった」と結論した。また、これまでに肥満症例では不安定な呼吸パターンになることが報告されていることから、「肥満症例では、撮影中に呼吸が不安定になり、横隔膜の位置が変わってしまうことで、結果的に冠動脈MRAの画質に影響を与えている可能性が考えられる」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)