獨協医大の北川善之氏

 血中のエイコサペンタエン酸(EPA)とアラキドン酸(AA)の比率を表すEPA/AA比が、冠動脈疾患の新しいマーカーになりうることが示された。冠動脈造影を実施した400人あまりの患者を対象に解析した結果で、3月16日に福岡で開幕した第76回日本循環器学会(JCS2012)において、獨協医大の北川善之氏らが発表した。

 北川氏らは、栃木県での魚介類の摂取量が全国的に見て少なく、また、同県の女性の心筋梗塞による死亡率が特に高いことに注目。両者の関連性を検証するため、EPA/AA比に着目し検討を重ねた。

 対象は、2010年2月から6月までに、冠動脈疾患の疑いあるいは確定のために冠動脈造影の検査を受けた栃木県あるいはその周辺在住の患者で、EPA製剤を使用していない428人(男性327人、女性101人)。

 患者背景は、年齢が66.2±10.8歳で、高血圧が311人(73%)、糖尿病が186人(43%)、脂質異常症が280人(65%)に認められた。喫煙は142人(33%)だった。EPA/AA比は、0.49±0.39と低い値だった。

 冠疾患危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙について、それぞれの有無別にEPA/AA比を比べたところ有意差は見られなかった。このことからEPA/AA比は、他の危険因子とは独立した指標あることがうかがわれた。

 そこで、性別で患者背景をみたところ、糖尿病、喫煙の割合が男性で有意に多く、また、EPA/AA比は男性で有意に高いという特徴があった。

 また、年齢層別に男女を比較すると、50〜59歳ならびに60〜69歳の年齢層で、女性の方が男性よりEPA/AA比が有意に低いという結果も明らかになった。

 演者らはこうした結果をもとに、EPA/AA比は冠動脈疾患の新しいマーカーになりうると結論。50〜59歳ならびに60〜69歳の年齢層で、女性の方が男性よりEPA/AA比が有意に低かった点については、女性の心筋梗塞による死亡率が高いことと関連性があるのではないかと考察した。その上で、今後は、EPA/AA比が低い患者に対してEPA製剤による治療を行うことも検討していくべきであろうと指摘した。

(日経メディカル別冊編集)