産業医大循環器内科の荻ノ沢泰司氏

 総務省消防庁がまとめている救急蘇生統計ウツタイン統計)の解析から、わが国における就業年齢層(20〜69歳)の院外心停止の発生頻度には地域差があり、最も低い関東に比べ最も高い北海道などとの間には1.8倍程度も差があることが明らかになった。16日から福岡で開催されている第76回日本循環器学会JCS2012)で、産業医大循環器内科の荻ノ沢泰司氏が発表した。

 同統計に登録されている20〜69歳の院外心停止症例は、2005〜2008年の4年間で2万4097件だった。これを北海道、東北、関東、甲信越・北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄の9地域に分け、標準死亡率で補正した同世代人口100万人当たりの年間発生率を求めたところ、その平均は77.1±14.9となった。

 就業年齢層の院外心停止発生率について、標準死亡率による補正を加えた信頼性の高い値が算出されたのは、世界でも初めてという。

 年ごとの院外心停止発生率を見ると、2005年が平均83.4±16.4、2006年が77.1±14.4、2007年が74.9±15.6、2008年が73.1±13.5だった。さらに年ごとの地域差を見ると、最も発生率が低かった地域は4年を通じ関東で、最も高かった地域は、2005年が北海道で関東の1.77倍、2006年も北海道で関東の1.88倍、2007年は東海で関東の1.88倍、2008年はまた北海道で関東の1.72倍だった。

 救急蘇生統計では、発生した院外心停止症例の患者背景を登録していない。そのため、この地域差が生じた要因の解明は難しいという。院外突然死であれば、発生から病院到着までの時間といった、各地域における救急医療態勢の差が要因の1つとして考えられるが、今回の検討では院外心停止の発生であり、この問題は除外される。

 また、4年間を通じて関東での発生率が最も低かったことについて荻ノ沢氏は、あくまで推論の域を出ないとしながらも、一般に大企業の方が社員の健康管理を日常から徹底して行っているため、このような大企業への就業率が高い関東では院外心停止発生のリスクが低くなるといったことは考えられるという。ただし、どのような要因にしても、因果関係を証明するためには長期間追跡して検証する必要があるとのことだった。

(日経メディカル別冊編集)