AEDが普及する一方で、患者が倒れた時にバイスタンダー(その場に居合わせた人)による心肺蘇生(CPR)があったのは、26%にとどまっていた―― 獨協医大越谷病院循環器内科の久内格氏が、2007年1月から2008年12月までに救命士によりAED施行後同院に救急搬送された67例について調査した結果を、3月5日から京都で開催されている第74回日本循環器学会総会・学術集会で発表した。

 AED自動体外式除細動器)は、平成20年12月の厚生労働省統計によると、全国で約20万台と広く普及している。しかし、具体的な使用状況や治療経過に関しては不明な点も多い。

 久内氏は、AED施行後に救急搬送された症例について、使用状況や治療経過、基礎心疾患の病態、ICD植え込みの有無などを検討した。

 対象は、2007年1月から2008年12月までに救命士によりAED施行後、獨協医大越谷病院に救急搬送された67例。

 67人の転帰は、外来死亡34例(51%)、入院33例(49%)。入院例のうち、独歩退院が12例(36%)、転院9例(28%)、死亡12例(36%)だった。67例中、イベント発生時にその場に居合わせた人(バイスタンダー)により心肺蘇生(CPR)が行われたのは17例(26%)にとどまった。

 AEDを使用するまでに要した時間は、6〜10分が最も多く68%。3分以下が9%、3〜5分が8%、10分以上が15%だった。AED作動例(67例)の予後は、死亡が68%、退院が19%、転院が13%だった。AED作動例の原因疾患は、半数が原因不明で、虚血性心疾患が22%、致死性不整脈10%、心筋症4%だった。

 久内氏は、「AEDの普及で良好な救命が得られているが、一般市民によるバイスタンダーCPRの施行によりさらに救命率の改善が期待されるため、今後の幅広い指導や啓蒙活動が大切」と締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)

■3月9日に以下の訂正を行いました。
当記事のタイトルが「AED普及するも活用例は院外心停止例の4分の1にとどまる」でしたが、正しくは「バイスタンダーCPRの施行は院外心停止例の4分の1にとどまる」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。