心臓血管研究所付属病院循環器内科の増田慶太氏

 虚血性心不全に対するスタチン治療は心不全による入院を減少させるが、非虚血性心不全患者にスタチンによる治療を行っていても入院率は減少しなかった―― 3月5日から京都で開催されている第74回日本循環器学会総会・学術集会で、心臓血管研究所付属病院循環器内科の増田慶太氏は、心不全患者に対するスタチン治療の効果を詳細に解析した結果を発表した。

 スタチン治療が心不全患者の入院に対してどのような影響を与えるかについては、まだはっきりとしていない。現状では、肯定的なスタディと否定的なスタディがともに報告されているが、これらのスタディは虚血性心不全と非虚血を合わせて解析している。そこで、増田氏は、同院を受信した心不全患者を登録しているShinken Databaseを対象として、スタチン治療の効果について虚血性心不全と非虚血心不全に分けて解析した。

 2004〜2007年に同院を受診した新患8917人を対象にした。フォローアップ期間は396.3±406.6日だった。その中から、NYHAが2から4の有症候性の心不全患者を1256人抽出し、その患者をさらに、虚血群(614人)と非虚血群(642人)に分けた。

 非虚血性心不全のグループではスタチン治療群とスタチン非治療群の間で心不全による入院に有意差はなかった(p=0.08)。一方、虚血性心不全のグループでは、スタチン治療群はスタチン非治療群と比べて心不全による入院が有意に少ないことが明らかとなった(p=0.02)。

 非虚血群と虚血群の患者背景については、虚血群では男性の割合と平均年齢がやや高く、高血圧や糖尿病などが多かった。一方、非虚血群では心筋症や弁膜症、心房細動などが高い割合で見られ、投薬にもそれらに見合った違いが出ていた。

 脂質値については、総コレステロール値(両群ともに193mg/dL程度)とLDL-C値(両群ともに112mg/dL程度)に有意差はなかったが、トリグリセリドは非虚血性群116.2±67.8mg/dLに対して虚血性群136.4±96.8mg/dLと高く(p<0.001)、HDL-C値は非虚血群55.9±18.2mg/dLに対して虚血群49.4±15.0mg/dLと虚血群が有意に低かった(p<0.001)。NYHAによる心不全の重症度分類は両群間に有意差はなかった。

(日経メディカル別冊編集)