大動脈に厚さ5mm以上のびまん性プラークがある患者の8年生存率は50%で、対照群の生存率87%と比べて悪いことが、平均8.7年間の長期追跡調査の結果から明らかとなった。プラークがある場合、塞栓性イベント発生率も高かった。3月20日から22日まで大阪で開催された第73回日本循環器学会・学術集会で、天理よろず相談所病院循環器内科の坂本二郎氏が発表した。

 坂本氏らは、1991年から2003年まで同院で経食道心エコーを施行した連続1570例を対象に、平均8.7年間フォローアップした。対象者は、塞栓症の原因調査、心臓カテーテル検査前の大動脈の動脈硬化性変化の評価、心臓弁膜症、先天性心疾患、心臓腫瘍などのために経食道心エコーを実施した。心房細動、大動脈解離、大動脈瘤患者は除外した。

 経食道心エコーによる観察の結果、中膜-外膜厚と管腔厚から求めた大動脈における厚さ5mm以上のびまん性プラークが1570例中92例(5.9%)にみられた。この92例の平均年齢は70±8歳、男性が82%、喫煙者は77%、脂質異常症16%、高血圧36%、糖尿病28%だった。対照群は、プラークがみられないか、小さなプラークしかない患者で、年齢、性、アテローム性動脈硬化のリスク因子を調整した109例とした。

 その結果、プラークが見られた群の生存率は対照群に比べて低く、8年生存率は対照群の87%に比べて50%と低かった(p<0.0001)。塞栓性イベントについても、8年無発生率は、対照群の90%に対してプラーク群は57%と、プラークがみられる群で有意に塞栓性イベントを発症する割合が高かった(p<0.0001)。

 プラークの性状別に解析した結果、石灰化プラーク、低エコープラーク、可動性プラークの有無では有意差は見られなかったが、潰瘍性プラークがある群(n=58)は、ない群(n=34)に比べて有意に生存率が低く、潰瘍性プラークがない群の5年生存率72%に対し、潰瘍性プラークがある群は58%だった(p=0.04)。多変量解析を行った結果、潰瘍性プラークのハザード比は2.4(95%CI:1.1-5.2、p=0.04)で、他のプラーク性状と生存率には有意な相関は見られなかった。

 プラーク性状と塞栓性イベントととの関係を解析した結果、可動性プラークがある群で有意に塞栓性イベントの発症率が高かった。多変量解析でも、可動性プラークのハザード比は2.2(95%CI:1.1-5.1、p=0.04)で、他のプラーク性状と塞栓性イベント発生率に有意な相関は見られなかった。

 坂本氏らはこれらの結果から、大動脈の5mm以上のプラークの存在は、生命予後や塞栓性イベントの予測因子として有用であるとまとめた。