順天堂大学医学部循環器内科学教授の代田浩之氏

 冠動脈疾患を持つ慢性期の高コレステロール血症に対し、国内で実施されたCOSMOS試験で、スタチン投与によるプラーク退縮効果が、日本人で初めて確認された。3月20日から22日まで大阪で開催された第73回日本循環器学会総会・学術集会の最新臨床試験報告2(LBCT2)セッションで、順天堂大学医学部循環器内科学教授の代田浩之氏(写真)が発表した。

 COSMOS試験(COronary atherosclerosis Study Measuring effects Of Rosuvastatin using intravascular ultrasound in Japanese Subjects)は、ロスバスタチン(商品名:クレストール)のフェーズ4として実施された。

 対象は20歳から75歳までの冠動脈疾患を持つ高コレステロール血症で、待機的CABGまたはPCIを施行した症例。高コレステロール血症の定義は、既治療症例ではLDLコレステロール値が100mg/dL以上、総コレステロール値が180mg/dL以上、未治療症例ではLDLコレステロール値が140mg/dL以上、総コレステロール値が220mg/dL以上とした。急性心筋梗塞後72時間以内、NYHAで3度または4度などの症例は除外した。

 ロスバスタチンの投与は2.5mg/日から始め、LDLコレステロール値が80mg/dL未満になるまで漸次増量(最大20mg/日)し、76週間投与後の冠動脈プラーク体積をIVUS(血管内超音波法)で評価。試験開始時のプラーク体積と比較した。

 被験者として214人を登録、薬剤を処方しなかった患者やIVUSでの解析ができなかった症例を除く126人を対象とした。ベースラインの患者背景は、平均年齢が62.6歳、男性が76.2%、平均BMIが25.0で、既治療症例が73%を占めた。高血圧や喫煙、糖尿病の有無などは、通常の冠動脈疾患の患者背景と同様だった。また、不安定狭心症の患者が10人(7.9%)含まれていた。ロスバスタチンの76週時点での投与量は16.9mg/日と「かなり高用量だった」(代田氏)。

 試験の結果、平均LDLコレステロール値は減少し、平均HDLコレステロール値は増加、平均LDLコレステロール値/平均HDLコレステロール値は47.5%低下した(p<0.0001)。また、平均プラーク体積は5.07%減少した(p<0.0001)。血管径に大きな変化はなかったが、血管内腔体積は7.25%増加した(p<0.0001)。

 多変量解析により、プラーク体積に影響する因子を求めたところ、HbA1cが高いと退縮しにくく、プラーク体積が大きいほうが退縮しやすいといった傾向が明らかになった。症例数は少なかったものの、不安定狭心症では退縮しやすい傾向があった。

 一方、3人に入院を要する貧血や好中球減少症などの副作用が起き、16人が投与を中止または投与量を減らしたものの、副作用のプロフィールはこれまでの臨床試験と同様で、ロスバスタチンの忍容性が示された。

 代田氏の発表後、コメントスピーカーとして登壇した埼玉医科大学国際医療センター心臓内科教授の小宮山伸之氏は、プラークが退縮するメカニズムについて、「リピッドコアが縮み、マクロファージなど炎症性の細胞の浸潤が減少することで起きると推測される」と述べた上で、COSMOS試験でプラーク体積の減少率が5.07%だったことについて、「被験者のうち70%以上がスタチンを投与されたことのある既治療症例だったためではないか」と述べた。