済生会中央病院副院長の三田村秀雄氏

 2004年に自動対外式除細動器AED)の一般使用が解禁された後、心原性心停止に対するAED使用は2005年から2007年までの2年間に6倍強と大きく伸びた。それでも全体では1.5%と、レアケースに過ぎないという。3月20日から22日に大阪で開催された第73回日本循環器学会・学術集会のラウンドテーブル・セッション「心臓突然死をいかに防ぐか」で、AEDの普及活動で高名な済生会中央病院副院長の三田村秀雄氏が現状と課題を報告した。

 三田村氏はまず、わが国における突然死の実態について紹介した。2007年には、医療施設外で発生し、搬送された心肺停止例は10万9461例あり、心原性がその半数に当たる5万9001例あった。市民による救命の対象になり得る目撃例は、その3分の1に当たる1万9707例。1カ月後生存はその1割に当たる2013人だった。

 直接の影響かどうかは不明だが、AED解禁以降、この1カ月生存率は、7.2%(2005年)、8.4%(2006年)、10.2%(2007年)と、2年間で約4割も改善した。

 市民用AEDの販売数も、2004年には3607台だったが2005年には1万9886台、2006年には3万5170台と増加し、公共施設、スポーツ施設のほか、コンビニ、ファストフード店、観光施設などに広がった。タクシーや新幹線など乗り物への設置も進んでいる。

 三田村氏はさらに、AEDが使用された場合、生存率が著しく改善していることを示した。目撃された心原性心停止の場合、AEDが使用されなかった1万9420例の1カ月後生存率は9.7%だったが、AEDが使用された287例では、42.5%と4倍以上になっていたという。

 2005-2007年の2年間にAEDの使用が大きく伸びたのに対し、心肺蘇生は41.0%(2005年)、42.9%(2006年)、47.6%(2007年)とそれほど伸びていない。この点について三田村氏は、「近年の研究で、マウス・ツー・マウスの人工呼吸を行わず、胸部圧迫だけを行う『プッシュ・オンリー』でも、心肺停止後15分以内ならば、同等以上の成績が報告されている」と指摘した。

 同氏は、院外心停止では目撃者がどこまでかかわるかにかかっていると強調、現場における救命率についてまとめ、「何もしなければ0%だが、救急車を呼べば8%、胸部圧迫(心マ)で12%、AED使用で42.5%と大きく改善する。ラスベガスのカジノのデータで3分以内にAEDを施行すれば74%に達するという報告もある」とし、啓蒙活動として、「CALL and PUSH」すなわち、119番通報とAEDの要請(CALL)、胸の真ん中をPUSH、AEDを使用(通電ボタンをPUSH)というキャンペーンを進めていることを紹介して締めくくった。