秋田県立脳血管研究センター内科学研究部の泉 学氏

 最新の320列マルチスライスCT(MDCT)を用いた冠動脈造影では、64列MDCTで実施する場合に比べ、被曝量を約3割減らせることが示された。スキャン時間も3分の1以下で済み、患者への負担軽減に貢献しそうだ。秋田県立脳血管研究センター内科学研究部の泉 学氏らの研究成果で、3月20〜22日に開催された第73回日本循環器学会・学術集会の一般口演で報告した。

 CTを用いた血管造影は、非観血的に冠動脈を撮影できるが、X線被曝が無視できない。

 2008年に登場した320列MDCTは、心臓全体を1回のスキャンで捉えることができるため、64列MDCTをヘリカルスキャンで用いる場合に比べ、短時間で造影でき、被曝線量を減らすことができる。

 泉氏らは、秋田脳研においてCTによる冠動脈疾患の評価を実施した連続90人について、320列MDCTと64列MDCTによる被曝線量などを比較した。無作為割付ではなく、320列CT導入前の50人は64列CTで、導入後の40人は320列CTで検査を実施した。

 その結果、体軸方向の一定長の被曝を示す線積分線量DLP:dose-length product)でみると、320列群の被曝量は865.4±153.9mGy・cmだったのに対し、64列群は1212.0±142.7 mGy・cmで、320列群の方が約29%有意に少なかった(p<0.001)。

 撮影時間は、320列群が2.51±0.5秒だったのに対し、64列群は7.89±1.0秒で、320列群は3分の1以下と大幅に短かった(p<0.001)。320列CTでは0.35秒の1回スキャンで心臓全体の撮影が可能だが、冠動脈造影では、拡張末期に同期して2-3心拍分のスキャンを実施した。

 さらに、描出能力を、描出が可能だった冠動脈セグメント(AHA分類に基づく)の比率で評価したところ、320列群が96.3%だったのに対し、64列群は84.0%と、320列群で有意に多かった(p<0.01)。

 これらの結果から泉氏らは、320列CTは64列CTより低侵襲の冠動脈造影が可能としていた。