名古屋大学循環器内科の近藤隆久氏

 日本人成年男性では、喫煙心イベント発症を3〜5倍、心血管イベント発症を2〜3倍高めている可能性が指摘された。20〜61歳の男性就労者3万人超を対象とした研究成果。3月20日から22日まで大阪で開催されている第73回日本循環器学会・学術集会の一般口演で、名古屋大学循環器内科の近藤隆久氏が報告した。

 近藤氏らは、1996年から2008年まで健康診断を受けている20〜61歳の男性就労者3万636人のうち、内服治療歴がない2万5471人を対象として、症例対照研究を実施した。1996年と2000年の健康診断時に、看護師が喫煙状況を確認、2000年の健康診断結果をベースラインとして、2001年1月1日から2008年7月10日までの心血管イベントを調べた。

 心イベントは、死亡または緊急カテーテル検査を実施、4日以上の入院を要した急性冠症候群(ACS)不安定狭心症急性心筋梗塞とし、心血管イベントは、心イベントに加え、同じく死亡または4日以上の入院を要したくも膜下出血脳梗塞脳卒中急性下肢動脈閉塞症解離性大動脈瘤とした。

 対象者は平均37.4±8.4歳、喫煙状況は、非喫煙24.9%、禁煙19.3%、軽度喫煙(1-10本/日)8.8%、中等度喫煙(11-20本/日)36.0%、大量喫煙(21本超/日)11.6%だった。

 非喫煙者に対する喫煙者のイベントリスクのハザード比を求めたところ、心イベントは喫煙本数にかかわらず3-5倍と有意に高かった。心血管イベントは、量反応関係がみられ、軽度喫煙では有意差はみられなかったが、中等度喫煙のハザード比は2倍超、大量喫煙では約3倍だった。

 一方、禁煙によるリスク低減の影響をみたところ、心イベント、心血管イベントとも、4年以上の禁煙で有意な減少がみられた。4年以上禁煙群を、総コレステロール値(189mg/dL以上と未満)、空腹時血糖値(90mg/dL以上と未満)で層別化したところ、いずれも高値群でのみ、禁煙による有意なハザード比減少がみられた。

 近藤氏らは、喫煙による心イベントリスクの上昇は、欧米人の2-3倍程度に対して、3-5倍程度と高く、日本人ではACS発症リスクに対する喫煙の寄与がより高い可能性があることを示唆する結果ではないかとした。

 禁煙によるイベントリスク減少が4年以上で初めて有意になるという結果については、「禁煙による体重増加が空腹時血糖値や総コレステロール値の増加を招き、禁煙による循環器系イベントリスクの減少を相殺した可能性があると指摘していた。