東京女子医科大学循環器内科の志賀剛氏

 電気的除細動ショック)を複数回行っても正常心拍が再開しない心室細動VF)/無脈性心室頻拍VT)発作に対し、抗不整脈薬ニフェカラントリドカインの有効性を比較した結果、VF/VTの停止と心拍再開で、ニフェカラントがより高い有効性を示したことが明らかになった。RELIEF研究の成果で、3月20日から大阪で開催されている第73回日本循環器学会のLBCT(最新臨床試験報告)セッションで、東京女子医科大学循環器内科の志賀剛氏が報告した。

 ニフェカラントは、純粋なクラス3(カリウムチャンネル抑制/遮断)の抗不整脈薬で静注剤。日本だけで承認・販売されている。

 米国心臓協会AHA)が2005年に発表したVF/無脈性VTの治療ガイドラインでは、第1選択は電気ショックだが、昇圧剤投与を含め、2〜3回実施しても終息しない場合、クラス3抗不整脈薬のアミオダロン、またはリドカインの投与を考慮するとしている。

 RELIEF(Refractory VT/VF, Prospective Evaluation to Differentiate Lidocaine Efficacy from Nifekalant)研究では、電気ショック抵抗性VF/VTに対して、AHAが推奨するアミオダロンと同じ位置付けにニフェカラントを置いてよいのかを検討するため、安全性と有効性をリドカインと比較した。

 対象は、2回以上の電気ショックでも停止しない院内発症の持続性VF/VT患者で、先天性/薬剤性のQT延長症候群は除外した。登録期間の2007年7月〜2008年4月に10施設で登録した55例を解析対象とした。ニフェカラント群が27人、リドカイン群は28人となった。

 1次エンドポイントはVF /VTの停止で、投薬後、さらに電気ショックを要した場合と、投薬のみで達成できた場合を含む。2次エンドポイントは、心拍再開(ROSC:return of spontaneous circulation)、1カ月後生存、生存退院とした。

 本研究は前向き観察研究として実施された。参加施設を無作為にニフェカラントとリドカインにあらかじめ割り付け、各施設は、事前に治験委員会に届け出ておいた個々の既存の治療方針に従って、ニフェカラントまたはリドカインを投与した。

 1次エンドポイントでは有意差が得られた。投薬だけでVF/VTが停止した症例は、ニフェカラント群で41%、リドカイン群で7%と、ニフェカラント群で有意に多かった(p=0.003)。投薬後、電気ショックを要した患者を含め、VF/VT停止が得られたのは、ニフェカラント群の81%、リドカイン群の54%で、ニフェカラント群が有意に多かった(p=0.027)。

 2次エンドポイントについては、心拍再開ではニフェカラント群が有意に多かった(85% 対 54%、p=0.011)。1カ月後生存と生存退院については、いずれもニフェカラント群が多い傾向だったが、有意差は得られなかった。

 一方、薬剤が関連する可能性がある有害事象として、心静止は、ニフェカラント群にはみられなかったのに対し、リドカイン群では25%(有意差あり、p=0.017)、無脈性電気的活動が、ニフェカラント群7%、リドカイン群4%、QT延長がニフェカラント群4%、リドカイン群が0%だった。

 両群の患者プロフィールでは、エピネフリンの使用率が、ニフェカラント群22%、リドカイン群71%と大きな違いがあった。

 この点について、コメンテーターとして立った滋賀医科大学の伊藤誠氏は、「エピネフリンの使用がリドカイン群で多いことは、もともと、リドカイン群に血行動態の悪い患者が(多く)入っていたとも考えられるし、リドカインの副作用(で心静止などが多かったため)とも考えられる」とし、非介入研究であるために、2群の背景に差がある点を指摘した。