微量アルブミン尿糖尿病性腎症の早期指標であり、心血管疾患罹患率の独立した危険因子のひとつである。また、先に報告されているように頸動脈壁の弾性率(変形のしにくさを表す物性値:Eθ)も生活習慣病早期指標のひとつである。東北公済病院(仙台市)内科の山岸俊夫氏らは、糖尿病患者でARBバルサルタンCa拮抗薬アムロジピン内膜中膜複合体厚IMT)、Eθ、尿中アルブミン排泄UAE)に及ぼす影響を検討した結果、バルサルタンはアムロジピンに比べ、UAEおよびEθの改善に有益な効果を示すことを報告した。

 対象は微量アルブミン尿がある38例の糖尿病患者(平均年齢58.2歳)で、バルサルタンは40mg/日(バルサルタン群:22例)、アムロジピンは2.5mg/日(アムロジピン群:16例)を6カ月間投与した。Eθはphased-tracking 法を用い、両側の総頸動脈の4箇所でIMTと同時に測定した。また、上腕−踵脈波速度(ba PWV)とUAEを測定した。

 試験薬投与前の平均IMT、平均Eθ、UAEはそれぞれ、0.80±0.16mm、188.5±55.9 kPa、76.6±15.7 mg/gクレアチニンで両群間に差はなかった。また薬剤投与6カ月後の血圧低下も両群間で有意差がみられなかったが、バルサルタン群ではアムロジピン群に比べ、有意にUAE(−55%対+2%)とEθ(−24%対−7%)を、より大きく低下させた(p<0.05)。一方、IMTとba PWVは両群ともに変化がみられなかった。
 
 以上の結果から、山岸氏は、「バルサルタンはアムロジピンよりもUAEとEθの改善に有益な効果を示した。Eθは糖尿病性動脈硬化症の改善における早期変化を検出するための良い指標である可能性がある」と、バルサルタンの尿中アルブミン排泄と動脈壁弾性の改善作用を評価した。