愛知医科大学循環器内科学の高阪崇氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)のバルサルタン内服が、冠動脈疾患を有する患者における冠動脈硬化性プラークの進展抑制をもたらす可能性が示唆された。愛知医科大学循環器内科学の高阪崇氏らが、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで3月28日に報告した。虚血性心疾患に対するARBの効果については良好な長期成績が多く報告されているが、同薬が動脈硬化性病変局所でどのような役割を果たしているかは、これまで十分に解明されていない。

 対象は2004年1月から2006年6月までに血管内超音波IVUS)ガイド下経皮的冠インターベンションPCI)を施行し、かつ慢性期に冠動脈造影CAG)・IVUSを施行できたバルサルタン投与群(47例)と、ARBおよびアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬を投与しない対照群(47例)の計94例。

 検討方法はステント留置部位から5mm以上離れた非病変部位の冠動脈プラーク(平均長17mm)について、試験開始時と平均7カ月後のフォローアップCAG施行時に定量的冠動脈造影(QCA)と3D-IVUSを行った。

 試験開始時における両群の患者背景はほぼ等しかったが、急性冠症候群(ACS)患者の比率は有意に(p<0.05)バルサルタン群で多かった(68%対26%)。次に7カ月後の平均収縮期血圧はバルサルタン群で144mmHgから134mmHgへ、対照群では139mmHgから133mmHgへ、それぞれ有意に低下し(p<0.01)、バルサルタン群では平均拡張期血圧も81mmHgから76mmHgへと有意に低下した(p<0.01)。

 一方、QCAにおいて、プラーク量係数(PVI)がバルサルタン群で治療前に比べ−4%と有意に減少し(p<0.05)、対照群ではわずかに増加傾向が見られた。

 以上の結果について高阪氏は、「各群の症例数が少なく、クロスオーバー症例も含むことから、完全な無作為割り付けとならず、ベースラインの患者背景ではバルサルタン群にACS例が有意に多かった。また、群間差はないもののスタチン内服例が多く、ARB・ACE阻害薬以外の薬剤が動脈硬化病変に与える影響も考慮する必要があるが、今回の結果をみる限り、冠動脈疾患を有する患者において、バルサルタンの内服が冠動脈硬化性プラークの進展抑制を促す可能性が示唆された」と語った。