小倉記念病院循環器科の曽我芳光氏

 経皮的冠動脈インターベンションPCI)によるステント留置後、すぐに心リハビリテーション運動を開始すると、ステント血栓症のリスクが高まるとされていたが、実際には変わらなかったとする研究結果が報告された。小倉記念病院(北九州市)循環器科の曽我芳光氏が、第72回日本循環器学会総会・学術集会のシンポジウムで3月30日に報告した。

 1990年代には、心リハを早期に実施するとステント血栓症のリスクが高まるという報告があった。現在でも、いつからどの程度の強度で心リハを実施すればよいのか、明確には示されていない。加えて、最近は患者を早期に退院させるため、心リハとその指導を早期に行わなければ、リハビリの機会が失われるという問題点もある。

 曽我氏らは、冠動脈にステントを留置した患者2351人を対象に試験を実施。このうち、同意が得られた865人を対象に、術後翌日から心リハ運動を実施した。運動は自転車こぎなど、ボルグ指数で11〜13程度のいわゆる嫌気性閾値(AT)レベルの強度で1日15分間実施し、退院後はウォーキング程度の運動を週3回以上のペースで実施した。

 その結果、心リハを行った群と行わなかった群(1486人)で、30日以内のステント血栓症の発症頻度に有意差は見られなかった(0.58% vs 0.47%、p=0.7256)。また、30日以内の死亡や心筋梗塞、バイパス術や脳梗塞などの主要な血管イベントについても、有意差は見られなかった(1.4% vs 1.3%、p=0.9334)。

 一方で、退院1カ月後の運動の継続率を自己申告してもらったところ、術前は心リハ群が26.2%、非運動群が28.1%と同程度だったが、術後の継続率は心リハ群の方が有意に高かった(74.0% vs 28.3%、p<0.0001)。また、週3回以上の運動を継続している割合も、49.3%、15.7%と、心リハ群の方が有意に高かった(p<0.0001)。

 これらの結果から曽我氏は、ATレベルの負荷で心リハを実施しても、血栓症を増やすものではなく、退院後の運動の継続率についても有効であると結論付けた。