名古屋大学・プロテアーゼ臨床応用学の沼口靖氏

 糖尿病性腎症マウスにL+N型Caチャネル阻害薬シルニジピンを投与したところ、腎糸球体の線維化や壊死が有意に抑制された。名古屋大学・プロテアーゼ臨床応用学の沼口靖氏が、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで3月29日に報告した。

 慢性腎臓病CKD)は心血管リスクであることが報告されており、血圧とともに腎機能の管理が重要となる。シルニジピンは、L型とN型のCaチャネルを同時に阻害し、降圧交感神経活性抑制に働くことが知られている。

 2007年にミラノで開催された第17回欧州高血圧学会では、CARTER(Cilnidipine versus Amlodipine Randomized Trial for Evaluation in Renal Disease)試験の結果が報告され、蛋白尿合併高血圧患者に対する優れた腎保護効果が注目を集めた。

 しかしCARTER試験では、腎臓の組織学的検討までは実施されていなかった。そこで沼口氏らは糖尿病性腎症モデル動物を用いて、シルニジピンの組織学的作用を詳しく調べた。

 実験に供されたのは8週齢の雄性db/dbマウスで、背部皮下に持続注入ポンプを埋め込み、10mg/kg/日のシルニジピンを4週間にわたって投与した。なおdb/dbマウスでは血圧の上昇は見られず、シルニジピン投与による血圧への影響は認められなかった。

 4週間後に腎組織を採取して組織学的な評価を行った結果、対照群では糸球体の線維化と壊死が進行しており、血清腎機能指標である血清尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(sCr)、クレアチニン補正後の尿中アルブミン排泄量が高値を示した。

 一方、シルニジピン投与群では、BUNとsCrの有意な低下が見られ、尿中アルブミン排泄量も有意に低下した。また糸球体線維化が有意かつ著明に抑制されており(p<0.05)、壊死面積もほぼ半減していた(p<0.05)。

 以上のように、糖尿病モデル動物においてシルニジピンは腎機能指標と尿中アルブミン排泄量を抑制した。また組織学的な改善も見られ、腎保護効果が確認された。