日本医科大学内分泌代謝内科教授の及川眞一氏

 ハイリスクとなる糖代謝異常の患者においても、エイコサペンタエン酸EPA)の投与は主要冠動脈イベントMCE*)の発症リスクを22%減少させたとの研究成果が明らかになった。JELIS試験における糖代謝異常についてのサブ解析結果で、第72回日本循環器学会総会・学術集会の「Late Breaking Clinical Trials II」セッションで3月29日、JELIS Investigatorsを代表して、日本医科大学内分泌代謝内科教授の及川眞一氏が発表した。
 
 JELIS試験は、脂質異常症患者を対象にEPAの冠動脈疾患予防効果を検討した、国内初で最大級の大規臨床介入試験である。対象は血清総コレステロール値が250mg/dL以上の脂質異常症患者1万8645例で、全例にスタチンを投与した上で、高純度EPA製剤1800mg/日を投与するEPA群と非投与の対照群に無作為で割り付けし、最長5年(平均4.6年)の追跡が行われた。

 今回のサブ解析では、対象全体を糖代謝異常合併例(ベースライン時に糖尿病、または空腹時血糖≧110mg/dL)4565例と非合併(糖代謝正常)例1万4080例に層別化し、EPAによるMCEの予防効果を調べた。

 その結果、糖代謝異常合併では非合併に対し、MCEの発症リスクが1.71倍と高く(p<0.0001)、糖代謝異常と脂質代謝異常を併せ持つ患者が、明らかにハイリスクであると確認された。

 次に、本サブ解析の主題となる糖代謝異常合併例でのEPA効果だが、対照群のMCE発生率が6.1%だったのに対し、EPA群では4.7%と低く、EPAによってMCEの発症リスクが有意に22%減少していた(ハザード比0.78、95%信頼区間0.60-0.998、p=0.048)。

 また、本介入試験の追跡期間内では、空腹時血糖値とHbA1c値に、対照群とEPA群との間で差を認めていない。したがって、EPAによるMCEの予防効果は、血糖降下作用とは独立であることが示唆された。

 なお、コメントスピーカーとして発言した筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科教授の山田信博氏は、脂質の質に注目する必要性を指摘し、脂肪合成のマスター転写因子SREBP1c抑制作用などを紹介した。また、糖尿病患者に対する脂質低下薬として中性脂肪をコントロールすることの必要性についても指摘した。


*) 主要冠動脈イベント(Major Coronary Event):心臓突然死、致死性および非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、インターベンション(心血管再建術、ステント留置術、冠動脈バイパス術)を含む。