大阪医科大学内科の柚木孝仁氏

 ピタバスタチン単独投与に比べ、エイコサペンタエン酸EPA)を併用することで、より強いプラーク安定化作用が得られる可能性が示唆された。動物モデルを用いた実験で明らかになったもので、大阪医科大学内科の柚木孝仁氏が、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで、3月29日に報告した。

 脂質異常症患者1万8645例を対象として、冠動脈疾患の予防を検討したJELIS試験では、全例にスタチンを投与した上でEPAを投与したEPA群では、スタチンを単独投与したEPA非投与の対照群よりも優れたイベント抑制効果が認められた。また、諸家の動物実験からは、EPAによる粥状動脈硬化巣(プラーク)の安定化作用などが報告されている。

 しかし、EPAによるプラーク安定化の詳細な機序は、未だ不明であった。そこで演者らは、安定プラークから不安定プラークに移行する動物モデルを考案、これを用いてEPAのプラーク安定化作用とその分子メカニズムを検討し、スタチンとの比較を行った。

 モデルの作製には日本白色家兎を用いた。右頚動脈をバルーンカテーテルにて傷害し、通常食餌で4週間飼育後、さらに高コレステロール含有食餌で8週間の飼育を行った。この操作により第12週の頚動脈摘出標本では、MMP-9発現増加とTissue Factor発現増加、マクロファージ増加を認め、プラークは不安定化していた。

 その上で、高コレステロール食餌期の後半(第8〜12週)に、ピタバスタチン単独投与、EPA単独投与、またはピタバスタチン+EPA同時投与を行って、第12週の頚動脈摘出標本を評価した。

 結果としてピタバスタチン単独群では、MMP-9発現低下が強く、Tissue Factor発現低下が強く、マクロファージ減少が強かった。一方EPA単独群では、MMP-9発現低下傾向、Tissue Factor発現低下、PPAR-αの発現増加を認めた。

 さらに併用群ではこれらの分子機序が複合的に働き、MMP-9発現低下はより強く、Tissue Factorの発現がより低下し、マクロファージが減少し、PPAR-αの発現増加を認め、プラークは形態学的に安定化していた。

以上の結果から、スタチンとEPAは異なる分子機序でプラーク安定化に作用するため、併用による相加・相乗効果が期待できるものと考えられた。