1991年、92年の登録時から1999年までのフォローアップ期間(平均5.7年)に、155の独立した心血管系イベントが観察された。内訳は、脳梗塞(22例)、脳出血(10例)、くも膜下出血(12例)、種類不明の脳卒中(13例)。心疾患では、狭心症(53例)、心筋梗塞(22例)、心不全(16例)、心突然死を含むその他(7例)だった。

 eGFR値の範囲ごとに1000人年当たりのイベント発生率をみると、非高齢者群では、eGFRが60以上で7.70。50以上60未満では13.16、50未満では22.88。同様に高齢者群では、eGFRが60以上で1000人年当たり25.40、50以上60未満では23.21、50未満では44.18だった。

 カプラン・マイヤー曲線によって累積生存率を解析した結果、非高齢者群でeGFR=60をカットオフ値にした場合、60以上の群に対し、60未満の群では有意に生存率が低く(p=0.003)、eGFR50をカットオフ値にした場合でも、50以上の群に対し50未満の群で生存率が有意に低かった(p=0.007)。

 一方、高齢者群では、eGFR=60をカットオフ値にした場合、60以上の群と60未満の群の生存率に有意差が見られず(p=0.657)、eGFR=50をカットオフ値にした場合は、50以上の群に対し、50未満の群で有意に生存率が低かった(p=0.0002)。

 喫煙、総コレステロール値、空腹時血糖値、収縮期血圧で補正をして多変量解析を行った結果、非高齢者群では、eGFRが60未満のハザード比は2.35(95%CI 1.42-3.92、p=0.001)、50未満のハザード比は2.42(95%CI 1.19-4.95、p=0.015)。一方、高齢者群では、eGFRが60未満のハザード比は1.01(95%CI 0.62-1.66、p=0.959)、50未満のハザード比は2.19(95%CI 1.22-3.94、p=0.009)となった。

 今回の結果について大西氏は、65才未満では心血管系イベントの予測因子としてCKDのガイドラインで規定された60mL/min/1.73m2というカットオフ値は非常に重要だが、加齢に伴い腎機能が落ちていくのは自然なことで、高齢者の場合、eGFRのカットオフ値は50未満が適している可能性があり、さらなる研究が必要だと締めくくった。