北海道大学循環病態内科学の岩野弘幸氏(右)と研究グループのメンバー

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与による高血圧性肥大心心筋内血液量MBV:myocardial blood volume)の変化と左室肥大退縮との関連について検討したところ、ARBのバルサルタン投与により、高血圧性肥大心のMBVが増加し、その増加が左室肥大退縮に関連していたことが示された。北海道大学循環病態内科学の岩野弘幸氏らが、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで3月28日に報告した。

 ARBには降圧とは独立した心肥大退縮効果があることが知られているが、ARB投与により高血圧性肥大心のMBVがどのように変化するかは検討されていなかった。

 高血圧性肥大心では、心筋細胞肥大や血管壁肥厚、間質線維化のため、心筋内の相対的な血管容積であるMBVが低下していると予想される。岩野氏らは以前、心筋コントラストエコー法(MCE)を用いて肥大型心筋症患者のMBVを測定し、正常例に比べMBVが低値であることを報告している。

 本研究の対象は、収縮期圧≧140mmHg、拡張期圧≧90mmHgでレニン-アンジオテンシン系阻害薬を服用していない高血圧性心疾患(HHD)患者11例と、年齢、性別を一致させた健常対照10例である。

 HDD群に対してバルサルタン80mg/日で治療を開始し、1カ月後に140/90mmHg未満に降圧しない場合は160mg/日に増量、2カ月後に達していない場合はトリクロルメチアジド(TCM)1mg/日を追加、3カ月後に達していない場合はTCMを2mg/日に増量する段階増量方式で6カ月以上治療した。また、試験開始時とARB治療6カ月後に心エコーとMCEを行った。

 ベースラインの両群の背景では、心拍数と収縮期圧がHHD群で有意に高く(p<0.05)、MBVは対照群の平均3.30%に比べ、HHD群で2.52%と有意に低かった(p<0.01)。

 6カ月間のARB治療により、HHD群の左室心筋重量係数と左室駆出率は治療前に比べ、いずれも有意に改善した(p<0.01、p<0.05)。MBVも治療前の平均2.52%から2.72%へと有意に改善した(p<0.05)。MBV変化率は平均血圧変化率とは相関せず、左室肥大の指標である左室心筋重量係数の変化率と逆相関した(r=-0.62、p<0.05)。

 以上の結果から岩野氏は、「バルサルタン投与により、高血圧性肥大心のMBVは増加し、その増加は左室肥大の退縮と関連していた」と結論した。