京都医療センターの和田啓道氏

 メタボリックシンドローム症例にエイコサペンタエン酸EPA)を3カ月間投与したところ、心血管リスクの新規マーカーとして有望視されている可溶性VEGF受容体2sVEGFR-2)が有意に低下することが分かった。京都医療センターの和田啓道氏らの研究で明らかになったもので、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで3月28日に発表された。

 メタボリックシンドローム(MetS)では、内臓脂肪蓄積によって脂肪細胞からの生理活性物質の分泌異常を生じ、心血管合併症を惹起すると考えられているが、その詳細な機序は未だ不明である。そこで、和田氏らの研究グループは、sVEGFR-2に着目して研究を続けてきた。

 sVEGFR-2は生体内に存在し、血管や心臓の発生や機能維持に不可欠な血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害する。

 和田氏らは既に、(1)血中sVEGFR-2レベルはMetS症例において有意に上昇している、(2)BMI中性脂肪空腹時血糖と正の相関を示す、(3)炎症や心血管リスクの指標である高感度CRPと正の相関を示す、(4)抗動脈硬化ホルモンであるアディポネクチンと負の相関を示す、などを明らかにしてきた。以上のことから、sVEGFR-2は新たな心血管リスクの指標候補として、極めて有望と考えられる。

 今回、演者らはMetSの7例(46±15歳、腹囲99±12cm、TG276±79mg/dL、血圧144±14/83±9mmHg、空腹時血糖85±39mg/dL)を対象に、食事・運動療法と並行してEPA1.8g/日を3カ月間投与することで、血中sVEGFR-2値(ELISA法)の変化を観察した。

 結果として、EPA群では、血中sVEGFR-2値が試験前の平均10119pg/mLから、試験後には平均8664pg/mLへと有意に低下した(p<0.01)。一方、EPAを投与しなかった対照群(n=9)では、試験前後の比較において、同値に有意な変化を認めなかった。

 本検討結果は、EPAによる心血管系イベントの抑制効果について、その機序を説明しうるひとつと考えられた。