冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン
 冠攣縮性狭心症に関しては、大規模臨床試験が実施されていないこともあり、ガイドラインの中心である総論、診断、治療に対して、エビデンスレベルは設定されていない。代わりに、評価法や治療法について有効性が証明されているか、見解が一致しているかどうかなどでクラス分類を行っている。治療においては、危険因子の除去と薬物療法を中心に解説している。

脳血管障害、腎機能障害、末梢血管障害を合併した心疾患の管理に関するガイドライン
 心疾患と脳血管障害、腎機能障害、末梢血管障害には、共通の危険因子が多く、神経体液性因子の活性化や血管内皮障害を介して病態が形成・進展しているから、本ガイドラインでは、合併例の疫学、診断、合併例の治療法をまとめている。

 脳血管障害と冠動脈疾患の合併については、(1)脳卒中急性期の血圧や水分管理、抗血小板・抗凝固療法の適応と中止、(2)心房細胞の心原性脳塞栓予防のための抗凝固療法における脳出血リスク、(3)冠動脈疾患と頚動脈病変における血行再建術の優先順位や治療戦略、(4)心血管手術おける周術期脳血管障害、などに言及した。

 腎機能障害と心疾患の合併については、(1)腎機能評価、(2)糖尿病性腎症における微量アルブミン尿、(3)透析治療における心疾患の合併、などについての指針をまとめている。さらに、腎機能低下例における薬物治療の注意点について薬剤系統別に記述した。造影剤腎症についても言及している。

 末梢血管障害については、閉塞性動脈硬化症と腹部大動脈瘤について詳しく解説しているほか、心疾患の薬物療法と相互に関連する留意点や基礎疾患の管理についても触れている。

血管炎症候群の診療ガイドライン
 血管炎症候群は、大血管炎、中型血管炎、小型血管炎に分類される。大血管炎は高安動脈炎と側頭動脈炎、中型血管炎は結節性多発動脈炎と川崎病、バージャー病、小型血管炎には細動脈・毛細血管・細静脈の血管炎で、小動脈も障害の対象となる。そのほか、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、本態性クリオブロブリン血症、悪性関節リウマチや顕微鏡的多発性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎などもある。

 ただし、日本の血管炎症候群患者の疫学や病態は欧米と異なる点が多く、日本独自の診療ガイドラインが求められてきたことから、今回、新たにまとめられた。ただし、今回ガイドラインに盛り込まれたのは、高安動脈炎、バージャー病、側頭動脈炎、結節性多発動脈炎、小型血管炎(顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、本態性クリオグロブリン血症、悪性関節リウマチ)の各疾患で、他の疾患についてはリウマチ専門医の診療機会が多いため、要点の記載にとどめている。