聖マリアンナ医科大学循環器内科の下郷卓史氏

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAS)の患者には肥満者が多く、メタボリックシンドロームとの関連性が指摘されているが、OSASの治療に用いられる持続的陽圧呼吸療法CPAP)が、呼吸の改善だけでなく、患者のメタボリックシンドロームを改善する可能性があることが示唆された。聖マリアンナ医科大学循環器内科の下郷卓史氏らの研究成果で、第72回日本循環器学会学術集会のポスターセッションで3月28日に報告された。

 研究グループは、聖マリアンナ医科大学附属病院SAS外来を受診し、終夜ポリグラフ(PSG)検査の結果、CPAPを導入した94人を対象とした。患者の平均年齢は52.6歳、87%が男性で、BMIは29.7、無呼吸・低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)は平均52.3だった。

 対象者に対し、CPAP導入前のSAS外来受診時と、CPAP導入6カ月目以降の2回、血液検査を行い、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、HbA1c、GOT、GPT、高感度CRPについて、検査値を比較した。

 その結果、総コレステロールとGOT、GPTについては、CPAP導入後、有意に改善していた。他のHDLコレステロール、中性脂肪、HbA1c、高感度CRPについては、有意な変化は見られなかった。

 さらに、わが国のメタボリックシンドローム診断基準検討委員会が作成した規準に基づいて、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満の各動脈硬化危険因子の該当を調べ、因子数によってA群(0個)、B群(1〜2個)、C群(3〜4個)とし、無呼吸・低呼吸指数(AHI)との関連性を調べたところ、A群、B群に対してC群は有意にAHIが高く、睡眠時無呼吸症候群が重症であるほど、メタボリックシンドロームの危険因子が多いことが分かった。

 こうしたことから下郷氏は、SAS患者に対するCPAP導入は、呼吸の改善だけでなく、高脂血症非アルコール性肝炎NASH)など、メタボリックシンドローム関連疾患の改善が期待できるとした。

 今回の対象者は2回の測定時点で体重に有意な差はなく、CPAPによる治療が、肥満の改善以外の機序でメタボリックシンドロームを改善している可能性があるという。下郷氏は、「NOによる内皮機能の改善といった可能性が想定できるが、今後、フリーラジカル量などの測定を進め、機序の解明を試みたい」としていた。