「まず運動療法や食事療法を勧めたい」と多田氏

 3月17日のモーニングレクチャー「食後高脂血症の病態と治療」で、慈恵医大代謝栄養内科学教授の多田紀夫氏(写真)は、簡便な指標として「血清TG値が300mg/dlを超える場合、食前の血清TG値を再度測定して、動脈硬化に対するリスクを評価する必要がある」との見解を示した。臨床の現場で食後高脂血症を判定する一つの目安となりそうだ。

 多田氏によると、食後高脂血症の明確な定義は、現在もはっきりして決まっていないのだという。多田氏が考える定義は「食後に血清脂肪が異常な増加を示し、この増加が遷延することと、空腹時には正脂血症を示すが食後に高脂血症を呈する潜在性高脂血症」である。食後高脂血症の治療には、スタチン、フィブラート系の薬剤、n-3族脂肪酸、DAGなどが用いられているが、病態の定義も含めて診断法の確立が待たれるところだ。

 一方、臨床現場でTG値が300mg/dlを超える症例をみることは決してまれではない。そうした場合の治療として、多田氏は「まず運動療法や食事療法を勧めたい」とした。しかし、現実には医師が食事指導を行っても、診療報酬の保険点数には反映されない。質疑応答では、「指導をしたくてもできない。どのように対応したらよいのだろうか」という第一線の医師からの質問が投げ掛けられた。これに対して多田氏は、「保険上の問題は大きい。医師が食事指導をした場合にも算定できるよう厚労省に働きかけていく必要がある」と述べた。「また、医師と栄養士が共同して食事療法を行えるシステムを構築する必要がある」と指摘した。

 この分野では、疾病予防という観点から産業医の職場検診や健康指導による介入が行われているが、一般の臨床現場で見つかった場合の対応については、課題が多いことを浮き彫りにしたモーニングレクチャーだった。