アディポネクチンの抗動脈硬化作用を追究する松浦氏

 3月16日のトピックス「低HDL血症の病態と治療」で、大阪大循環器内科の松浦文彦氏(写真)は「アディポネクチンには、HDLコレステロールの血中濃度を上げる作用があり、抗動脈硬化作用を持つと考えられる」という研究結果を発表した。

 アディポネクチンは脂肪細胞由来のアディポサイトカインの一種で、糖尿病、高脂血症、高血圧などの危険因子との関与が指摘されている。また、冠動脈疾患を持つ患者ではアディポネクチンの血中濃度が低く、HDLコレステロールとアディポネクチンの血中濃度には正の相関があることが分かっている。しかし、どのようなメカニズムで、アディポネクチンが血中HDLコレステロール濃度を上げるのかは未解明だった。

 松浦氏らは、肝細胞および末梢泡沫化細胞としてマクロファージの培養液を用いて、アディポネクチン添加によるABCA1やSR-BIなどのHDL増加に関わる蛋白の発現などを調べた。その結果、肝細胞ではABCA1、apoA-1のHDLの新生に関与する因子が増加していた。一方、マクロファージではABCA1の著明な増加とSR-BIの増加傾向が見られた。

 こうしたことから松浦氏は「アディポネクチンは肝臓でのHDL新生と末梢泡沫化細胞でのcholesterol efflux(コレステロール引き抜き作用)促進に関与しており、このことが抗動脈硬化作用につながると考えられる」と述べた。

 しかしながら、HDLコレステロールの産生には様々な因子が関与しているため、「今後も他の因子とアディポネクチンの関連を調べる必要がある」(松浦氏)とした。