インバースアゴニスト活性を示す上で重要なAT1受容体上の領域を明らかにした三浦氏

 福岡大学病院循環器科の三浦伸一郎氏(写真)らは3月17日、ARB(バルサルタン)がインバースアゴニスト活性を発現する上で重要なAT1受容体上の領域が明らかになったと報告した。

 現在、臨床に用いられているARBは数種あるが、このなかにはインバースアゴニスト活性を有するものと、そうでないものが存在する。バルサルタンは強力なインバースアゴニスト活性を有するARBである。

 アンジオテンシンII受容体タイプ1(AT1受容体)はアンジオテンシンII(AII)による刺激がない状況でも、弱い自律的活性を示し、AII刺激が存在する場合と同様な細胞内シグナル伝達を生じる。こうした受容体の自律的活性は受容体に対するリガンドの結合とは無関係であるため、通常のアンタゴニストでは抑制できず、インバースアゴニスト活性を有する薬剤でのみ抑制可能となる。

 今回、三浦氏らは、バルサルタンがインバースアゴニスト活性を示す上で重要なAT1受容体上の領域を明らかにするため、それぞれ異なる領域に変異をもつ複数のAT1受容体を作成し、これらの変異型AT1受容体の自律的活性がバルサルタンによって抑制されるか否かを検討した。

 その結果、AT1受容体分子における第105、109、199番目のアミノ酸(順にセリン、セリン、リジン)が置換された変異型AT1受容体では、バルサルタンによるインバースアゴニスト活性が減弱し、これらの領域が重要であることが示唆された。

 三浦氏は、バルサルタンと他の強力なインバースアゴニスト活性を有するARBを比較すると両者はAT1受容体との結合領域の分子構造が異なり、また、インバースアゴニスト活性を示す上で重要なAT1受容体側の領域も異なっているという。それにもかかわらず両者がともに強力なインバースアゴニスト活性を示す理由を明らかにすることが、今後インバースアゴニスト活性を含めたARBの詳細な作用機序と、高血圧や臓器障害などの病態治療におけるAT1受容体抑制の重要性を解明する手がかりになるだろうと三浦氏は語った。