早朝高血圧の改善が期待されると報告した鳴海氏

 千葉大循環病態医科学の鳴海浩也氏(写真)らは、軽〜中等症の本態性高血圧患者約1000例を対象として、ARB(バルサルタン)またはカルシウム拮抗薬(アムロジピン)を中心とする降圧療法を比較する前向き無作為化オープン比較試験であるVART試験を実施している。本学会においては3月17日に、1年目の追跡が終了した330例に対する解析から、バルサルタンを中心とする降圧療法では早朝高血圧の改善が期待されることを報告した。

 今回の解析対象は、2年の追跡を計画しているVART試験においてすでに1年目の追跡が終了した330例であり、これらの外来血圧および家庭血圧(朝・昼・夕・就寝時)に加えて、血漿ノルエピネフリン値の変化を検討した。降圧目標値は135/85mmHg未満とし、バルサルタン群では、投与量80mg/日で治療開始し、十分な降圧が得られない場合には160mg/日まで増量し、さらにβ遮断薬・利尿薬などを追加することとした。また、アムロジピン群では投与量5mg/日で治療開始し、さらに10mg/日に増量、次にβ遮断薬・利尿薬などを追加することとした。試験登録時における両群患者の背景因子に差は認められなかった。

 試験の結果、外来血圧は両群ともに良好に低下し、両群の平均血圧は目標血圧のレベルまで低下していることが確認された(両群間に有意差なし)。しかし、家庭血圧では両群の成績に差が見られた。すなわち、バルサルタン群では、早朝収縮期血圧と日中平均収縮期血圧(昼・夕・就寝時)の差が試験前3.26±11.4mmHg(早朝血圧と日中平均血圧の比較;p=0.001)だったが、1年目にはその差は1.70±9.78(同p=0.07)にまで縮小した。一方、アムロジピン群では試験前5.15±12.0mmHg(同p=0.001)から1年目3.20±9.35(同p<0.001)に縮小したものの、依然として早朝血圧は日中平均血圧より有意に高値のままであった。

 また、交感神経活性の指標となる血漿ノルエピネフリン値は、バルサルタン群においては治療前に比べ1年目において有意に低下したが、アムロジピン群では有意な低下は認められなかった。

 以上の結果から、鳴海氏は、バルサルタンによる降圧はレニン・アンジオテンシン系を抑制することにより交感神経の亢進を効果的に抑制し、この機序を通じて、日中平均血圧のみならず、早朝高血圧を改善すると考えられると述べた。