JIKEI HEARTスタディを報告する望月氏

 東京慈恵医大循環器内科の望月正武氏(写真)は、3月15日のセッション「LBCT Late Breaking Clinical Trials」で、JIKEI HEARTスタディの主要成績を報告した。同試験は、カルシウム拮抗薬やACE阻害薬などによる従来治療を強化した群に対し、従来治療にARB(バルサルタン)を追加した群では高血圧患者の心血管イベントが有意に抑制されることを証明した。

 JIKEI HEARTスタディでは、ARBを含まない従来治療を受けていた冠動脈疾患または心不全を伴う高血圧患者(3081例)を対象とし、ARBバルサルタンの追加投与によって心血管イベントが抑制されるか否かを検討した。

 従来治療にバルサルタンを投与し厳格に降圧する群(バルサルタン80mg/日を追加し、40〜160mg/日の範囲で用量調節)、もしくは、従来治療を強化する群に割り付けた。バルサルタン群(1541例)および従来治療群(1540例)のベースライン時における背景因子や合併症、既存の治療薬に差は認められなかった。治療による降圧目標を130/80mmHgとし、バルサルタン群ではバルサルタン増量もしくはARB以外の未使用薬の新規追加、従来治療群ではARB以外の従来治療薬の増量・新規追加により、降圧目標を達成することとした。

 同スタディは、追跡3年後の時点においてバルサルタン群における有益性が明確になったことから、安全性委員会の勧告により早期終了となった。バルサルタン群における血圧値はベースライン時から8.2/4.7mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)低下し、従来治療群では7.2/3.7mmHg低下と、両群が同等(有意差なし)であった。しかし、一次評価項目である複合心血管イベント(脳卒中または一過性脳虚血発作、心筋梗塞、心不全または狭心症による入院、解離性大動脈瘤、下肢動脈閉塞、血清クレアチニン値の2倍化または透析導入)は、バルサルタン群において従来治療群に比べ39%有意に低下し(p=0.00021)、脳卒中または一過性脳虚血発作(p=0.0293)、狭心症による入院(p=0.0001)、心不全による入院(p=0.0293)、解離性大動脈瘤(p=0.034)などの各イベント発生率も有意に低下した。

 これらの結果から、望月氏は「欧米における試験成績と同様に、従来治療と比較しバルサルタン投与によって心血管イベントが有意に抑制されることが日本人でも確認された。同等に厳格に降圧する場合でも薬剤にって大きな違いがある」と述べている。