末梢動脈疾患(PAD)における細胞移植による血管新生療法は、1年目、2年目と同様に、その有効性と安全性が3年以上続いていることが、TACT研究の追跡結果で示された。京都府立医科大学循環器病態制御教授の松原弘明氏が3月17日、シンポジウム「我が国における再生医療の臨床試験」で発表した。

 TACT研究は、虚血性心臓病と虚血下肢の患者を対象に、自家骨髄単核球を用いた血管新生治療を検討する多施設臨床研究。閉塞性動脈硬化症(ASO)やバージャー病(TAO)などの重症虚血下肢に対する、この血管新生治療は、2003年6月に高度先進医療として認可されている。

 今回は、ASO74例とTAO41例の治療成績が報告された。患者の平均年齢はそれぞれ67歳と49歳。ASO群では高血圧症の合併が78%、糖尿病が65%を占め、透析患者も35%だった。解析は先端医療振興財団臨床研究情報センターが行い、発表の4日前に解析が終了したばかりという。

 解析の結果、ASO群の生存率は2年目までは80%であり、3年目も80%と変わらなかった。TAO群は2年目と同様、3年目も100%を維持していた。下肢の非切断率は、ASO群は2年目までは74%だが、3年目では53%となった。TAO群では3年目も2年目と同じ94%だった。

 ASO群の死亡は、敗血症3例、心不全2例を含む11例だった。また予後因子として、死亡に関しては年齢、透析、高血圧、糖尿病が、下肢切断に関しては痛み(VAS)が関与することが確認された。

 有害事象は、ASO群では急性冠症候群1例、心不全1例、狭心症1例、脳卒中3例、重症感染症4例など、15例(20.2%)に見られた。TAO群では血栓性閉塞が1例のみだった。

 これらの結果から、細胞移植による血管新生療法の有効性および安全性は長期に維持されるとし、さらに松原氏は、ASOとTAOは別の疾患として、その死亡率や安全性を評価しなくてはいけないと話した。