温熱療法による心不全治療を推奨する鄭氏

 3月15日のAPSC-JCAジョイントシンポジウム「慢性心不全の非薬剤治療」では、オーストラリア、台湾などのアジア太平洋心臓病学会のメンバーが登壇し、非薬剤治療の効果について報告した。その中で、本セッションの座長で演者でもある鹿児島大循環器・呼吸器・代謝内科学教授の鄭忠和氏(写真)は、「運動療法なども含めた非薬剤治療も、慢性心不全治療の柱となるべきだ」と訴えた。

 鄭氏が開発した温熱療法は、遠赤外線ドライサウナシステムを使ったもので、患者は室内全体が摂氏60度に保たれた温熱治療施設に15分間入室後、暖かい部屋で毛布に包まって保温しながら仰臥位のまま30分間休むという治療方法。鄭氏によると、患者の心腔内圧は、治療後はもちろんだが温熱治療中も治療前よりも有意に低下する。過去に41度のお湯に10分間入浴する方法をとっていたときには、心腔内圧は治療後に低下したが、治療(入浴)中は上昇した。このことから、非常に注意深く行う必要があったが、ドライサウナシステムによって安全性は大きく高まったという。

 多施設共同研究によって、うっ血性心不全に対する有効性も確認されており、鄭氏は「温熱療法による心不全治療は、重症のうっ血性心不全の患者に対してさえも安全で有効な治療である。症状の改善だけではなく、精神的にも肉体的にもリラックス効果があり、患者のQOLの向上が期待できる。世界的にも、治療の柱に温熱療法や運動療法を取入れるべきだ」と話し、本セッションを締めくくった。

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