蓄積されつつあるCRT-D症例を解析した清水氏

 日本では、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)は2006年8月に保険適用になったばかりだが、この半年間におけるCRT-D導入例の実態が報告された。山口大学の清水昭彦氏(写真)が3月16日、トピックス「CRT-Dの適応をどう考えるか?」で発表した。
 日本不整脈学会は、ICD植込み症例と作動状況の登録制度(ICD-WEB)を活用し、CRT-Dが利用可能になった2006年8月からCRT-Dの症例登録を実施し、データを蓄積している。清水氏は、2006年8月〜2007年1月までの半年間にICD-WEBに登録された965症例を対象に調査。このうち、CRT-Dを導入された患者198人についての解析結果を報告した。なお、メーカー情報では同期間のCRT-D利用患者は1000人と推測されており、ICD-WEBのカバー率は20%ほどとなる。
 解析によると、登録症例の平均年齢は66±10歳。男性が152人、女性が46人だった。突然死の一次予防のためにCRT-Dを導入された患者は102人で、二次予防のために導入されたのは96人だった。疾患は、拡張型心筋症が50%、続発性心筋症が15%、虚血性心疾患が27%などだった。海外では虚血性心疾患の患者が多い傾向にあるが、日本では拡張型心筋症が大半であることが明らかになった。
 またNYHA分類でみると、III群が128例と大半であり、IV群は28例だった。II群も41例、I群も1例あり、基準より広く対象を選んでいることも分かった。
 115±71日の追跡期間で、死亡例は2例(心臓死1例、非心血管死亡1例)、また心疾患イベント(ショック)は3例に認めた。いずれも二次予防のために導入された症例だった。
 このほか、一次予防のためにCRT-Dを導入された群では電気生理学的試験の実施が前提となるが、実際には30%の症例で行われているだけという課題も浮かび上がった。なお、継続的なVT/VFが48%の患者に見られたほか、非継続的な心室頻拍や誘発心室頻拍が88%の患者に認めれた。
 CRT-Dの適応については、過剰な適応を懸念する声がある一方で、過剰な制限を危惧する声もある。ICD-WEBに代表されるような症例データの蓄積は、適応基準を評価する上で重要な役割を果たすことになるに違いない。