藤原氏は「医者が矢面に立つ覚悟がないと駄目」と語る

 わが国における心臓移植は、いまだ発展途上にあることが明らかとなった。3月16日に開催された日本循環器学会の第3回心臓移植セミナーで、兵庫県立尼崎病院の藤原久義氏が日本循環器学会心臓移植委員会予後調査結果を発表した。藤原氏によると国内移植症例数は、2006年に初めて10件になったものの2007年3月7日現在で累計で41件にとどまっていた。欧米のみならず台湾、中国、韓国と比べても少ないのが現状だった。移植を受けた患者の予後が良いことも明らかにされ、状況の改善が望まれる結果となった。
 現在、日本では家族の同意ですべてを進めることができる案を盛り込むなど、臓器移植法の改正案が国会で審議されようとしている状況にある。これについても、会場からは「諸外国と同じレベルの法律にしていただきたい」という声が挙がるほどだった。しかし、藤原氏は「医者が矢面に立つ覚悟がないと駄目。学会として脳死は死であることをはっきりと言っていかなければならない」と、普及させるためには医師の役割が大きいことを強調した。
 発表では各国の心臓移植の実績が比較され、2005年時点で日本は移植総数が29例であったのに対して、米国は4万3976例、フランスは9508例、英国は5726例だった。台湾、中国、韓国は2000年時点の数字が紹介され、それぞれ339例、66例、170例だった。
 次に全例ではないが、日本で移植を申請した患者299例(調査期間は1997年3月31日から2006年7月1日まで)について調査した結果が報告された。その結果、「移植済み」は30.1%、「移植未実施」が69.9%だったが、「移植済み」のうち国内で実施したのはその40.0%に過ぎなかった。また、予後については、移植後死亡したのは申請299例中の2.0%(6例)に過ぎず、39.5%が移植未実施死亡となっていた。さらに「移植済み」では、外来通院が79例(社会復帰53例)で入院中は3例だったのに対して、「移植未実施生存」(全体の31.1%)では外来通院が51例(社会復帰10例)で入院中は40例だった。