人間の尊厳を尊重する援助が必要と指摘する小澤氏

 3月15日のコントロバーシー「超高齢者の心不全をどこまで治療するか」では、早めの機能維持や治療への動機付け、機能評価の方法など、治療法が議論される中、ターミナルケアを実践するめぐみ在宅クリニック院長の小澤竹俊氏(写真)から、「たとえ機能維持が困難であっても、医療者は患者に対して治療だけを行うのではなく、最期を静かに看取る役割も担う必要がある」との提言がなされた。小澤氏の提言には、このセッションの演者らからの反対意見は無く、むしろ今後はこうした考え方が必要で、循環器専門医も学んでいかなければならないだろう、との意見が出された。
 小澤氏は、人が終末期のような苦しみの中でも強く生きようとする動機となる力を、将来に夢を持てる「時間的存在」、だれかに支えてもらえるという「関係存在」、自己決定ができる自由のある「自律存在」の3つに集約した。そして、この3つのうちいずれかを失いバランスが崩れたときに希望が失われると説明し、それらを補い、バランスの回復の手助けをするのも医療者の役割だとした。
 緩和ケアでは、すべての積極的な医療を中止すると思われがちだが、「最期まで積極的治療を選択する自由(自律的存在)もある。一人ひとりの異なる苦しみを支え、人間の尊厳を尊重する援助が必要である」と、小澤氏は、将来の超高齢者医療に取組む医師のあるべき姿勢を示した。