標準治療確立の必要性を訴える末田氏

 冠攣縮性狭心症に関する診療方針、特に冠動脈攣縮誘発試験の実施件数などに、病院間格差が存在することが明らかになった。心臓病の診療に当たる全国の病院を対象に行った調査によるもので、済生会西条病院の末田章三氏(写真)が3月15日、セッション「冠攣縮性狭心症のトピックス」で発表した。
 末田氏はこれまで、少数の施設を対象とした調査を行い、施設によって冠攣縮性狭心症に対する診療実態にばらつきがあることを把握していた。標準治療の必要性を訴えるため、今回は調査対象を日本全国の病院に広げ施設間格差の解明を目指した。
 対象は、日本循環器学会のメンバー病院1177施設(うち877施設が大学病院、300施設が教育関連病院)で、208病院が調査に協力した(回収率17.7%)。
 その結果、冠攣縮性狭心症の診療実態、特に冠動脈攣縮誘発試験の実施件数において、病院間に大きな差が明らかになった。たとえば冠動脈攣縮誘発負荷試験の実施症例数別にみた場合、試験実施例がないとする施設が24%あったほか、10例未満の施設が30%、10例以上50例未満の施設が33%などと、施設による取り組みにばらつきがあった。
 また、観血的冠攣縮誘発負荷試験に用いる薬剤では、アセチルコリンが64%で主流だったものの、エルゴノビン冠動脈内投与が28%、エルゴノビン経静脈投与が2%などだった。
 このほか、アセチルコリン負荷試験での冠攣縮陽性基準にもばらつきがあり、99%以上とする施設が25%、90%以上が25%、75%以上が12%などと差があった。アセチルコリンの投与量や冠注時間などでも施設によって格差が認められた。エルゴノビン負荷試験でも同様だった。
 冠攣縮誘発負荷試験の実施条件、冠攣縮性狭心症の治療方針の面でも、施設によって考え方が違うことも明らかになった。
 一方で、調査に応じた病院の大多数は、冠動脈攣縮について建設的な考えを持ち、さらに74%もの病院が冠動脈攣縮に関するガイドラインの必要性を感じていることも分かった。
 末田氏は、回収率が20%を割っているため、「この結果を持って(ガイドラインの必要性を)日本循環器学会としての総意とするのは難しい」と指摘しつつも、すべての心臓病専門医が冠攣縮性狭心症に関する標準治療の確立を求めているのは事実と強調、循環器関連の学会が率先してガイドライン作りに取り組むべきと訴えた。

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