J-RHYTHM Studyの結果を発表する小川氏

 「発作性心房細動では患者のQOLという点で洞調律維持治療の方が有益」とする研究成果が報告された。心房細動に対する洞調律維持治療と心拍数調節治療を比較検討したJ-RHYTHM Studyにより明らかになった。3月15日のセッション「LBCT Late Breaking Clinical Trials」で、慶應義塾大学の小川聡氏(写真)が発表した。

 J-RHYTHM(Japanese Rhythm Management Trial for Atrial Fibrillation)は、日本心電図学会が主催した無作為化多施設共同群間比較試験で、発作性心房細動患者と持続性心房細動患者のそれぞれを対象に、洞調律維持治療群と心拍数調節治療群の長期予後を比較した。

 登録期間は2003年1月〜2005年6月。登録総数は1065例だった。追跡期間は2004年7月〜2006年3月。登録施設は182施設で、大学病院64施設、公立病院50施設、私立病院43施設、診療所25施設がそれぞれ参加した。
 なお、発作性心房細動は、発症後48時間未満で自然停止が見込まれる心房細動であり、持続性心房細動は、発症後48時間以上1年未満持続する心房細動とした。

 一次エンドポイントは、すべての原因による死亡、有症候性脳梗塞、全身性塞栓症、入院・輸血を必要とする大出血(脳出血を含む)、静注用利尿剤を必要とする心不全による入院、被験者の基本的治療法に対する認容性(患者のQOLに相当する)。

 対象は発作性心房細動患者885人、持続性心房細動患者180人の合計1065人(平均年齢64.6歳、男性70%)で、それぞれ洞調律維持治療群(抗不整脈薬治療+抗血栓治療)と心拍数調節治療群(ジギタリス製剤あるいはCa拮抗薬あるいはβ遮断薬治療+抗血栓治療)に割り付け、長期予後を検証した。

 発作性心房細動のうち洞調律維持治療群は443例、心拍数調節治療群は404例。一方の持続性心房細動での洞調律維持治療群は91例、心拍数調節治療群は89例だった。平均追跡期間は585.8日だった。

 比較の結果、発作性心房細動の症例では、洞調律維持治療群は心拍数調節治療群より有意に無事故生存率が良かった(p=0.0073)。ただし、持続性心房細動の症例では、洞調律維持治療群で無事故生存率が高い傾向にあったが、有意な差ではなかった。

 一方、生存率は、発作性心房細動でも持続性心房細動でも、洞調律維持治療群と心拍数調節治療群に違いは認められなかった。また、すべての原因による死亡、全身性塞栓症のための入院、大出血(脳出血を含む)や心不全による入院についても、同様に差は見られなかった。ただし、発作性心房細動では、洞調律維持治療群で被験者の基本的治療法に対する認容性が有意に高かった(p=0.0142)。

 これらの結果を踏まえ小川氏は、「特に発作性心房細動の症例では、患者のQOLを考慮した場合、洞調律維持治療の方が有益であろう」と締めくくった。

*循環器病関連ガイドラインの浸透度調査を実施中です。循環器病の診断と治療に関するガイドラインの主なものを提示し、日常診療での利用頻度や利用目的、診療への影響、不満に思う点などを明らかにするものです。会員医師の方はぜひご協力ください。詳細はこちらへ。