性差を考慮した治療法の確立を目指す小川氏

 急性心筋梗塞(AMI)の女性患者は男性患者よりも予後が悪いという研究結果が報告されているが、治療法の改善によって長期予後の向上が期待できるとする研究成果が報告された。3月15日のセッション「冠動脈疾患のNew Evidence−病態、診断、治療」で、東京女子医大の小川洋司氏(写真)が発表した。

 小川氏らは、性差を考慮した治療法を確立することを目的に、日本人のAMI患者について、その長期予後における性差の解明に取り組んだ。
 対象は、東京女子医大循環器内科学教室とその関連施設(HIJCグループ17病院)が手がけた前向きコホート試験HIJAMI(The Heart Institute of Japan Acute Myocardial Infarction)で、1999〜2001年に登録された計3021人のAMI患者。追跡期間は平均40カ月で、フォローアップ率は97%と高率だった。
 3021人のうち1451人が一次カテーテル治療(Primary PCI)を受けていた。29.3%が女性で、平均年齢は、女性が74.4歳、男性が64.8歳と女性の方が有意に高かった。
 単変量解析で性差が確認できたのは、再灌流療法の実施率(女性54%、男性70%、p<0.001)、アスピリン処方率(女性86%、男性90%、p<0.001)、ACE-IあるいはARBの処方率(女性60%、男性64%、p<0.001)だった。
 年齢、急性期の再灌流療法の有無などを調整した後の分析によると、長期生存率は女性の方が有意に男性より良かった。
 また、再灌流療法の実施率、アスピリン処方率、ACE-IあるいはARBの処方率などが男性に比べて有意に低いことが、女性患者の予後が悪いことに関係していると考えられたが、これらを調整した後の分析ではやはり、長期予後は女性の方が男性より良いという結果だった。
 こうした結果を受けて小川氏は、「男性より10年遅れてAMI発症のピークを迎える女性患者に対する治療法の改善が求められている」などと考察した。

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