AT1受容体はアンジオテンシンII(AII)だけでなく、機械的伸展刺激を介しても活性化され、心肥大において重要な役割を担っていることが明らかになってきた。このようなAT1受容体の活性化は、バルサルタン、カンデサルタン、オルメサルタンといったinverse agonistによって抑制することができる。しかしながら、ARBのinverse agonist作用に関しては不明な点が多い。このたび、千葉大学循環器病態医科学のYasuda Noritaka氏らは、ARBがinverse agonistとして作用するためには、カルボキシル基の存在が重要であることを報告した。

 Yasuda氏らはこれまで、各種ARBのinverse agonist作用を検討してきたが、ARBのなかでも、カルボキシル基を有さないロサルタンではinverse agonist活性が弱いことから、カンデサルタン(CV)のカルボキシル基を取り除いた誘導体CV11974-7H(CV-7H)を作成し、inverse agonist活性を比較検討した。

 AT1受容体を過剰発現しているHEK293細胞は機械的伸展刺激、AIIの何れでもERKsを活性化する。これに対し、CVは両者によるERKsの活性化を抑制したが、CV-7Hは高用量の投与によってAIIによるERKsの活性化は抑制したものの、機械的伸展刺激による活性化は抑制できなかった。つまり、カルボキシル基がinverse agonist作用を獲得するための重要な要素であると考えられる。

 しかし、このようなカンデサルタンのinverse agonist作用は、AT1受容体の257のグルタミンおよび287のスレオニンの変異によってカンデサルタンとの結合能が低下し、inverse agonist作用が減弱することが確認された。

 以上の結果から、Yasuda氏は、ARBのinverse agonist活性にはカルボキシル基の存在が重要であるとともに、AT1受容体の257グルタミンと287スレオニンがカルボキシル基との結合に関与していると推察するとともに、バルサルタンやオルメサルタンにおいても同様の結果が得られる可能性を指摘した。