ゲルろ過HPLCを使った分析法がリポたんぱく質のサブクラスのコレステロール値の評価に有効であり、small VLDLとsmall LDL、large HDLのコレステロール値を使った計算値が、冠動脈疾患の発症と関連性の高いことが分かった。東京医科歯科大学教養部教授の岡崎三代氏や国立循環器病センター病院長の友池仁暢氏らの研究グループが「Unique lipoprotein Subclasses Related to Coronary Artery Disease by Component Analysis of Cholesterol Profile in High-performance Liquid Chromatography」と題して、日本循環器学会で発表した。

 リポたんぱく質は、大きくはカイロミクロン、VLDL、LDL、HDLの4つに分けることができるが、近年、粒子が小さいSmall LDLが動脈硬化を促進し、冠動脈疾患の危険因子といわれている。研究グループは、粒子サイズにより複数のサブクラスに分け、リポたんぱく質ゲルろ過HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を使い、冠動脈疾患患者において、そのコレステロール値を比較した。

 対象は冠動脈疾患の男性患者45人、年齢、総コレステロール、トリアシルグリセロールの値には違いがない他疾患の男性患者17人(大動脈弁疾患4人、心筋症6人、胸痛4人、ECG異常3人)を対照群とした。

 まずリポたんぱく質を4分類で分析したところ、患者群のLDL-C値は対照群に比べて有意に高く(p<0.05)、HDL-C値は低く(p<0.05)、VLDL-C値には違いないことが確認された。一方、リポたんぱく質のサブクラスで見ると、患者群のsmall VLDL-C (粒子直径31.3nm)値は平均12.5mg/dLで、対照群の8.75mg/dLに比べて有意に高かった(p<0.001)。またsmall LDL-C(同23.0)値とvery small LDL-C (同16.7〜20.7)値も対照群より有意に高く(それぞれp<0.05、p<0.001)、large HDL-C値は低かった(p<0.001)。

 研究グループはこれらを変数として「small VLDL-C +(small LDL-C + very small LDL-C)−large HDL-C」の値を算出した。その結果、患者群ではこの値が高く、非患者群では逆に低くなることがわかった。また、同値によって5グループに分け、患者群および非患者群の人数分布を調べたところ、患者群では、第1区分(平均11mg/dL)に含まれる人数は1割強と少ないが、第4区分(49 mg/dL)と第5区分(63 mg/dL)では、約3割と多かった。逆に非患者群では、第1区分では約45%と最も多く、第5区分(63mg/dL)では1割に満たなかった。(八倉巻尚子、医療ライター)


訂正 第1段落で、東京医科歯科大学教養部教授の「岡崎光代氏」となっていましたが誤りで、正しくは「岡崎三代氏」でした。また、第4段落で、「患者群のsmall VLDL-C (粒子半径31.3nm)値」とありましたが、正しくは、患者群のsmall VLDL-C (粒子直径31.3nm)値」、最後の段落で、「患者数群」という表記がありましたが、「患者群」の誤りでした。お詫びして上記のように訂正いたします。