大阪大学大学院医学系研究科教授の堀正二氏らの研究グループは、心筋梗塞感受性遺伝子として同定されているリンフォトキシンα(LTA)遺伝子の変異による再発リスクが、スタチンの投与によって低減できることを見出した。心筋梗塞の危険患者を同定し、薬剤による予防を行うテーラーメイド医療の一例といえる。成果は、3月24日に名古屋市で開催された日本循環器学会のポスター・セッションで、研究グループの水野裕八氏(写真右)が発表した。

 以前にLTAの252番目のアデニンがグアニンに代わった多型が心筋梗塞の発症と関連すること、さらに心筋梗塞患者を対象とした前向き観察研究で、梗塞発症後の死亡の独立した規定因子であることが明らかにされている。変異による心筋梗塞リスク向上のメカニズムの詳細は分かっていないが、炎症反応を増加させることが報告されており、抗炎症効果を持つスタチンの投与を行った。

 大阪急性冠症候群研究会(OACIS)登録患者のうち、生存退院した1586人を退院時にスタチンを使用していた384例と使用していなかった1202例に分けてグアニン多型の有無で死亡率に差が生じるか調べた。

 その結果、1200日目における全体の生存率は、グアニン多型を持つ群996例が94.0%であったのに対し、持たない群は97.1%となり、ハザード比は2.46となった。さらに、スタチン非使用群の1200日目の生存率は、グアニン多型を持たない群が97.0%だったのに対し、持たない群は93.1%に低下、グアニン多型を持つハザード比は2.81となった。一方、スタチンを使用している群ではグアニン多型の有無で1200日目の生存率は変わらず(グアニン多型群で97.3%、持たない群で97.5%)、ハザード比は1.75で、統計的な有意差はなかった。

 同研究グループで講師の佐藤洋氏(写真左)は「心血管死を抑止するため、遺伝子をみてスタチンを投与する選択肢もあるのではないか」と語った。