大阪大学大学院医学系研究科教授の萩原俊男氏、同教授の森下竜一氏らの研究グループは、肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子をコードしたプラスミドを重症肢虚血患者に投与する遺伝子治療臨床試験の2年間の長期観察結果で、有望な結果が得られていることを明らかにした。HGF投与によって形成された血管の効果が持続しているといえる。3月26日に名古屋市で開催された日本循環器学会の一般口述(日本語)57「Genetics/Genetically engineered models/Gene therapy-1」で研究グループの青木元邦氏(写真)が発表した。

 発表した臨床試験はフェーズ1/2a試験に当たるもので、主要評価ポイントはABI(Ankle Brachial Pressure Index:上腕 血圧/足関節血圧比)の0.1以上の上昇、潰瘍の大きさの25%以上の減少、visual analogue pain scaleの2cm以上の減少だった。臨床試験はステージ1のグループとステージ2のグループに分けて行われ、合計で22人の患者を対象にプラスミドの投与が行われた。

 ステージ1のグループ6人の患者には、0.4mgのHGFプラスミドを試験的に投与した後、2週間おいて2mgのHGFプラスミドを投与し、4週後にもう1回、2mgのHGFプラスミドを投与した。ステージ2のグループには4週間おいて2度HGFプラスミドを投与したが、2mgのHGFプラスミドを投与する群(8人)、4mgのHGFプラスミドを投与する群(8人)に分けて投与された。

 投与後2カ月の時点で、ABI、潰瘍の大きさ、安静時疼痛の有意な改善が見られ、その改善効果は2年間維持された。投与量による差はなく、全体で2カ月目での有効率はABIが64.7%(17例中11例)、安静時疼痛が61.5%(13例中8例)、潰瘍が63.6%(11例中7例)だった。歩行距離が50%以上伸びたのは71.4%(7例中5例)だった。そして有効率は投与後6カ月目、1年目、2年目でも悪化することはなかった。

 また、投与後2カ月目の時点で、閉塞性動脈硬化症(ASO)とバージャー病(thromboangitis obliterans: TAO)の間で効果に差はなかった。ABIの改善はプラスミドを膝の下へ集中的に接種した方が良好な結果だった。

 また、特に重篤な副作用は見られず、血清中のHGF濃度の増加もなかった。現在、二重盲検試験が行われている。