成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスであるヒトT細胞向性ウイルス1型(HTLV-I)に感染していると脳梗塞になりやすいことを示唆するデータが発表された。3月24日に名古屋市で開催された日本循環器学会のポスターセッション「Cerebrovascular circulation」で、愛媛県西宇和郡瀬戸町の国民健康保険瀬戸診療所の高木弥栄美氏(写真)が報告した。

 高木氏らは、2003年8月から2005年10月にかけて、疾患を問わず瀬戸診療所に入院した全患者568人に対してHTLV-1血清反応検査を実施、陽性者を対象にラクナ梗塞、脳梗塞の有無、脳室周囲高信号域(PVH)を調べ、磁気共鳴映像(MRI)による脳梗塞のスコア化を行った。HTLV-1血清反応陽性で高タイター(1024以上)の患者17人(平均年齢が81±9歳で男性が47%)を陽性群とし、年齢、性別をマッチさせたHTLV-1陰性の入院患者28人(平均年齢が77±7歳で男性が77%)を陰性群とした。

 その結果、ラクナ梗塞についてはHTLV-1陽性と陰性で差は見られなかったものの、脳梗塞はHTLV-1陽性患者の53%で起きていたのに対して、陰性患者では18%にとどまっていた。PVHもHTLV-1陽性患者の35%で見いだされたのに対して、陰性患者では7%だった。さらにMRIによる脳梗塞領域のスコア化を行った結果、HTLV-1陽性患者が6.4±2.4であったのに対して陰性患者では4.1±2.4と陽性患者で高いスコアが得られた。

 高木氏はHTLV-1感染と脳梗塞の発症の関係について、「HTLV-1が血管の周辺に感染して炎症反応を引き起こしている結果、脳梗塞が起き易くなっているのではないか」と推測する。認知症のある患者とない患者では抗HTLV-1抗体の陽性率が異なっているとの報告や、クラミジアなど感染症由来の炎症性素因が高血圧や認知症に関連するという報告もあるという。

 「西日本ではHTLV-1感染率が高いため、入院時の感染対策の一環として、B型肝炎、C型肝炎、梅毒などとともにHTLV-1検査を実施している医療機関が多い。本発表をきっかけに、周辺の医療機関にもHTLV-1感染と脳梗塞の関連について、関心を持ってほしい」と述べていた。