低用量のエリスロポエチン(EPO)の投与は、全身における赤血球産生に影響を与えることなく血管新生を誘導させることができる可能性が動物実験で示された。EPOは最近血管新生因子としても注目されており、新たな血管新生療法につながる可能性がありそうだ。成果は3月26日に名古屋市で開催された日本循環器学会Poster Session(English)90「Regeneration/myocardial regeneration)-4で、熊本大学心臓血管外科の高志賢太郎氏(写真)、東京大学医学部の西山功一氏らが発表した。

 まず研究グループは、マウスの後肢虚血モデルで、血清中のEPO濃度が2.5倍となりEPO受容体の発現が虚血組織で2倍に増加することを確認した。さらにin vitroの実験で正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の移動をEPOが高めることを確認した。

 次にマウス後肢虚血虚血モデルに高用量(1000U/kg)、中用量(100U/kg)もしくは低用量(25U/kg)の遺伝子組み換えEPOを1日おきに腹腔内に投与して効果を調べた。その結果、高用量群、低用量群ともにEPOは虚血させたふくらはぎの筋肉の毛細血管の密度を高めることができた。また、レーザードップラー・パーフュージョンイメージングを行ったところ、低用量投与群と中用量投与群で血流量の改善効果を確認することができた。虚血肢と正常肢の比率が対照群では14日目で0.45±0.17だったのが低用量EPO投与群では0.64±0.22となった。中用量群も0.6近くとなった。

 足先の壊死については、対照群の87.5%に対して、低用量投与群は37.5%に減少させることができた。高用量投与群、中用量投与群では低用量群よりも効果が弱いものの、50%に減少させることができた。血中ヘモグロビンレベル、ヘマトクリットレベルの上昇は高用量EPO投与群のみにみられ、血液粘性が高まっていることが確認された。また、高用量EPO群では側副血管の収縮を引き起こしたことから、研究グループでは、高用量EPO投与が血流量増加の妨げになったのではないかと考えている。