ACE阻害薬やARBによるレニン・アンジオテンシン系(RAS)の抑制は冠動脈疾患の発症率や死亡率を低下させることは様々な臨床試験により明らかにされている。しかし、ARBとACE阻害薬の併用がACE阻害薬単独投与よりも臨床的アウトカムを改善するかについては明確な結論が得られていない。このほど、横浜市立大学市民総合医療センターの矢野英人氏らは、バルサルタンとカプトプリルの併用は、急性心筋梗塞患者の狭窄部位の内腔を有意に増加させることをCVAS(Captopril Combined with Valsartan In Acute Myocardial Infarction Study)によって明らかにした。

 発症24時間以内のAMI患者で冠動脈造影にて有意狭窄を有する79例を対象とした。患者をバルサルタン(80mg/日)+カプトプリル(75mg/日)群(バルサルタン群:37例)と、カプトプリル単独群(単独群:42例)に無作為に割り付け、発症時と7カ月後の脂質プロファイル、炎症パラメータの変化を比較するとともに、狭窄部位をIVUSによって評価し、比較検討した。

 その結果、脂質プロファイル、炎症パラメータの変化に関しては両群間で有意差は認められなかったが、血漿中アルドステロン値とフォローアップ期間の平均収縮期血圧は、バルサルタン群で有意に低下していた(p=0.02、p=0.04)。

 また、IVUSによる評価の結果、単独群では、血管量、血管内腔量、プラーク量いずれも変化は認められなかったが、バルサルタン群ではベースラインに比し、有意な血管量、内腔量の増加が認められた(p=0.04、p=0.02)。そして、この増加量は単独群と比較しても有意であった(p=0.04)。しかし、バルサルタン群においてもプラーク量に関しては試験前後での変化は認められなかった。
 
 以上の結果より、矢野氏は、「バルサルタンとACE阻害薬の併用は、プラーク量を増加させることなく、狭窄部位の血管、内腔を拡張したことから、冠動脈の保護や、冠動脈イベント抑制の可能性が期待できる」とした。