メタボリックシンドローム(MS)は、2005年に内科学会を中心として診断基準が報告されてから、さらなる注目を集めているが、このほど、市立宇和島病院循環器内科の東晴彦氏らは、メタボリックシンドローム患者における高血圧に対してバルサルタンを投与することで、動脈硬化症の進展に関与するMSの様々な構成要素を改善することを報告した。

 東氏らは、NCEP ATP-III 注)の基準に合致する38例のメタボリックシンドロームを合併する高血圧患者を、バルサルタン群(80〜160mg/日)とアムロジピン群(2.5〜5mg/日)に無作為に割り付けし、6カ月後の左室心筋重量(LVMI)、BNP、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、炎症反応(hs-CRP)、血管壁性状を比較検討した。

 その結果、6カ月後の血圧は、両群でベースラインに比し有意に低下していたが(p<0.05)、両群間に有意差は認められなかった。また、LVMI、BNPも両群において、ベースラインに比し有意な低下が認められたが(p<0.05)、バルサルタン群ではアムロジピン群より有意であった(p<0.05)。

 一方、HOMA-IR、hs-CRP、血管壁硬化度、PWVに関しては、バルサルタン群でベースラインとアムロジピン群に比し、有意な低下が認められたが(p<0.05)、アムロジピン群ではベースラインと比較して統計学的な有意差は得られなかった。

 以上の結果から、東氏は、バルサルタンは降圧効果に加え、インスリン抵抗性や慢性炎症反応、動脈壁性状など様々な動脈硬化の進展に関わる要素の改善作用を有することが示されたとする。そして、これらの作用は両群間の血圧の低下度に差がなかったことから、降圧を超えた作用であると結論した。


注)米国コレステロール教育プログラム(NCEP)の専門委員会が発表した「成人高コレステロール血症の予防・管理に関する診療ガイドライン」の改訂版(ATP III)